294人の犠牲者を出した韓国の客船セウォル号遭難事件で、運航会社の実質的オーナーとして手配されていたユ・ビョンオン(72)が、先月(2014年6月)12日に韓国南部の順天(スンチョン)市で変死体で見つかっていたことがわかった。遺体のDNAがユ・ビョンオンのものと一致した。死因などはわかっていない。
DNA・指紋が一致
遺体が発見されたのは順天市の畑の中で、冬のジャンパーを着て帽子をかぶり、仰向けだったという。遺体は腐敗が進んでいたが、DNAのほか、右手の指紋も一致した。ユ・ビョンオンは近くに農場やプールなどがある別荘をもっており、一時そこに身を隠していたと見られるが、発見された場所は別荘から2キロの地点だった。
捜査当局はセウォル号の沈没は安全軽視によるものと見て5月に出頭を求めたが、現れなかった。逮捕状が出され、懸賞金6000万円をかけられた。
ユ・ビョンオンは複数の会社をもち、子どもなど一族で経営しており、海外に所有する不動産は数十億円ともいわれる。また、宗教団体の教組でもあり、信者からの献金などでとかくの噂があった。この事故では子どもらも手配されているが、いずれも捕まっていない。
発見は1か月前!なぜか発表しなかった朴槿恵政権
井上貴博アナ「事件の鍵を握ると見られていた人物が遺体でみつかったということですね」
共同通信の久江雅彦・編集委員は「これで責任問題や背後関係がうやむやになることだけは避けてほしいですね。また、朴槿恵大統領は国内の批判を外へ向けるために、歴史問題などで日本へのけん制を強めるようなことはすべきではない。真っ当に再発防止に努めてほしいです」という。
それにしても、遺体が見つかってから1か月以上というのも変な話だ。発見時点で腐敗していたとなると、実際に死亡したのは手配されて間もない5月ということか。
井上「事件は韓国社会の闇を象徴しているといわれます。どこまでメスを入れられるか、韓国政府の対応が問われています」
この事故ではなお10人が不明で捜索が続けられている。先日はこれに従事していた消防のヘリがソウル市内で墜落する事故があった。