緊張が続くウクライナ東部でマレーシア航空機が墜ミサイルで撃墜され、乗員乗客298人全員が死亡したとロシアのインタファクス通信が報じた。日本人はいないという。ウクライナ政府と親ロシア派武装組織、さらにはそれぞれを支持する米国とロシアは「あっちがやった」「俺たちじゃない」と非難の応酬だ。
上空1万メートルで地対空ミサイル直撃
撃墜されたのはオランダ・アムステルダム発クアラルンプール行きのボーイング777型機。きのう17日(2014年7月)午後11時15分ごろ、ウクライナ東部ドネツク付近の上空1万メートルで地対空ミサイルの直撃を受けたと見られる。親欧米のウクライナ政府と親ロシア派が戦闘を繰り広げている地域だ。アメリカの航空各社は飛行を禁止しているが、ヨーロッパから東南アジアに向かう航空機はほとんどがこのルートを通る。
ウクライナ政府のプルシェンコ大統領は「テロリストによる攻撃だ」と親ロシア派を非難し、親ロシア派は「自分たちのミサイルは4000メートルまでしかとどかない」と関与を否定している。
ロシアのプーチン大統領はテレビで「事故が起こった国の政府が責任を負う」と怒りをあらわにした。ロシア国防省はウクライナ軍が27基の高度ミサイルシステムを現地に展開していると発表している。テレビ朝日の陣中文モスクワ支局長は「あす以降、ロシアがさらに強い姿勢に出る可能性があります」と報告した。
誤射か?オバマ大統領「調査チーム派遣」表明
ウクライナの内相顧問がフェイスブックに寄せたコメントによると、使われた地対空ミサイルはロシア製の「ブク」で、上空1万5000~2万メートルの航空機を追跡・撃墜できるという。親ロシア派はSNSで「持っている」と主張していたが、きのうこれを削除した。しかし、このミサイルはウクライナ軍も持っているという。
米オバマ大統領は「恐ろしい悲劇」と語り、ウクライナに調査チームの派遣を発表した。JNNの内藤正彦外報部長は「マレーシア航空機を撃墜しても何のメリットもないから、誤射の可能性がいわれています。国際問題になる前に事実関係をはっきりさせる必要があり、米ロが事実解明の関係をつくれるかが当面の焦点です」という。
飯田泰之(明大准教授)「まず誤射であることをしっかり調査しなければいけません。グレーにしておくと対立が激化するだけです」