<もっとたりないふたり>(日本テレビ系)
山ちゃんとオードリー若林「恥ずかしすぎるネタ帳」スベりまくりの灰色時代!あるとき突然の思い付きでブレーク

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   南海キャンディーズ山里とオードリー若林は、どちらも名前が売れた当初は『じゃないほう芸人』だった。けれど、いまやその実力・人気は相方をしのぐほどだ。それなのに、なぜかほんのり卑屈、でもプライドがないわけじゃない。人見知りで負けず嫌いで、つい世の中をひねて見つめがちだ。そんな二人がコンプレックスをさらけ出し、互いに互いを抉り出す笑いが気持ちいいトークコメディとなった。セットはシンプル、小道具もゲームもなし。喋りだけでちゃんと笑わせる。それを成立させるのって、こんなに難しくて、こんなに軽快なのね。初めて見たけどこの番組、かなり好きかも!

「笑金もない」「M1もない」「技術がない」…

   今週は、「最近、山里を見失っている」という若林の一言から始まった、互いの「ネタ帳」を見せ合い、紹介しあうスペシャルウィークの後編だ。芸人にとってのネタ帳は、ウケたときも滑ったときもみな知ってるおじいさんの古時計的アイテムである。これを互いに茶化しながらも、真面目に紹介していくのだから見ごたえはばっちりだった。

   最初は若林のネタ帳を山里が紹介する。どつぼにはまっていた22~23歳の若林のノートは、無数のギャグと「すべった」の書き込みで埋め尽くされていた。「笑金もない」「M1もない」、そして極め付けには「技術がない」。そんな灰色の修業時代のターニングポイントは、山里に言わせると「オードリーがオードリーになった瞬間」。若林は常識人、春日は自分が常識人だと思っているけれど、はたからみたら非常識な人という構図で漫才をしたらどうかという書き込みは、たしかに今のオードリーのスタイルだ。思いついた瞬間、「売れちゃう!」って思ってリビングでそわそわしたという若林の興奮も理解できる。だが、そのアイデアを春日に話すと、「どういうことっすか?「ふたりともツッコミなんすか」とトンチンカンだったという話もいいオマケになっている。

しずちゃん口説き落とすためストーカー化!志向徹底的に調べ上げ

   山里も元相方への厳しすぎた過去を紹介され、どれだけ山里がしずちゃんに惚れ込み、必死で口説き落としたかを若林に暴露される。しずちゃんの志向を調べ上げ、「気が合うこと」「お笑いとして行きたい方向が同じであること」をアピールし続けたという。おかげで、ライバルを押しのけてコンビを結成(当時、しずちゃんと組みたい男は4人もいたらしい)。両ボケという停滞期を山里がツッコミに転換することで克服し、一気に売れたという話は素直に感心する。

   ネタ帳を見せ合うという企画に、「楽屋番組になっちゃうんじゃないの」と危惧したが、嘘のように、あっという間の30分だった。ともすれば「深イイ話」を披露しあう自己満足番組になってしまうところを、互いに突っ込み、茶化していじるから、重い話なのに軽く楽しめる。

   自分の強みは「キショさ」と言い切れる山里に、春日へのあたりの強さを隠そうとしない「黒若林」ががっちりはまる。性格の悪さ、人としての欠落をネタにできるのって強いなぁ。ネタ帳からにじんでくる2人の「悩みぬき、考え続ける」ことで生まれるがむしゃらと仕事への誠実さに励まされるところもあり。うん、満足!(放送6月20日深夜1時58分~)

(ばんぶぅ)

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