現金手渡し詐欺対策に強力な切り札が登場した。静岡県で警察と金融機関が協力して打ち出した「預金小切手プラン」だ。カネを求められても現金を渡さず、小切手にする。換金までに時間がかかるので、この間に確認や相談をすることができる。静岡県で2月(2014年)に始まってから、56件1億5000万円強の被害を防いだ。ほかの県でも導入を検討している。
お年寄りが銀行で大金引き出し「現金でなく小切手にしませんか」
預金小切手は口座を持つ人なら作ることができる。静岡県では、75歳以上の客が300万円以上を引き出しに金融機関に来ると、窓口では現金ではなくこれをまず勧める。
沼津信金業務部の渡邊増男部長は「会話する中で、被害にあっていないかを見きわめることもできます」という。実際に10件に1件は被害にあう寸前だった。なかには怒りだす人もいるが、説得できないときは警察に連絡する。静岡県警生活安全部の鈴木良東管理官は「ここまでやらざる得を得ない実状を理解してほしいです」と話す。
すぐ現金化できず、犯人の指紋も残る
小切手は金融機関に持っていってもすぐには現金にできず、まずは口座に振り込まれる。本人名義の通帳が必要で、振込みまでに数日を要する。この間に被害が確認できるし、小切手には犯人の指紋、窓口のカメラには犯人の映像が残る。「小切手で渡す」と聞いただけであきらめる犯人グループもあるという。
飯田泰之(明治大准教授)「現金でないと困るという人には理由があるわけで、普通の人ならまずあり得ないですよね。たしかに、うまい手を思いつきました」
吉永みち子(エッセイスト)「電話があったら、小切手とまず言ってみることですね。そこで現金という相手は怪しい」
この詐欺対抗策、今は静岡県だけだが、山梨県や茨城県などでも検討中という。
司会の羽鳥慎一「煩雑さを上回るメリットがありますよね。広がるといいですね」