韓国「米軍慰安婦」戦後日本にもあった米兵向け特殊慰安婦施設―アメリカ政府にこそ謝罪求めろ
案の定というべきだろう。韓国で「米軍慰安婦」だった女性たち122人が、韓国政府に対して国家賠償を求める集団訴訟をソウル中央地裁に起こしたことから、週刊文春は「韓国『米軍慰安婦』実名告発」、週刊新潮は「ならば青瓦台に『米軍慰安婦の像』を!」と鬼の首を取ったように大声で呼ばわっている。
韓国政府は1960年代から80年代にかけて、在韓米軍のために「米軍慰安婦」を管理し奨励してきた。当時の韓国では売春が禁止されていたのだが、特例をつくりこの政策を推進したのが朴槿恵(パククネ)大統領の父親・朴正煕だったのだ。この問題は昨年11月に韓国国会で取り上げられたが、朴槿恵政権は頬かむりを決め込んだため、女性たちが提訴したのだという。
週刊文春によると、当時、基地関係の産業は韓国GNP全体の二十五%を占め、うち半分が性産業による収益だったとされるそうだ。週刊新潮によると、朝鮮戦争後休戦協定が結ばれると、米軍基地近くの地域では多くの米軍慰安婦がおり、国家記録院が所蔵していた77年作成の文書には、全国62カ所の基地村に9935人の米軍慰安婦がいたと記されているとソウル特派員が語っている。
週刊新潮は<彼女たちこそ、文字通り国に『強制』された慰安婦だった>のだから、<彼らが言うところの「日本軍慰安婦」問題の責任と、米軍慰安婦問題のそれを、韓国は同等に論じるべきではないか>と朴槿恵大統領を責めている。
だが、私には少し違和感がある。第二次大戦中、植民地支配していた朝鮮の女性たちを徴用して従軍慰安婦にしたことと、今回のことを同列に論じるのはおかしくないか。むしろ、敗戦後に占領軍が進駐してきたとき、日本政府によって米軍兵士の相手をする売春婦施設が作られ、多数の慰安婦(総数5万5000人ともいわれる)を置いたことと比べるべきであろう。
これは占領軍による一般女性に対する強姦事件が多発することが予測されたため、日本政府が「日本女性の貞操を守る犠牲として愛国心のある女性」を募集したのである。しかし、こうした施設を提供したにもかかわらず、米軍兵士たちによる強姦事件は頻発したのだが。
韓国の慰安所もそうした意味合いを含めて作られたのであろうが、そうした人権を無視した政府のやり方を国は謝罪し、女性たちへ何らかの補償をするべきだと思う。日本ではそうした過去を知られることが恥ずかしいため、名乗り出て国を訴えるケースは寡聞にして聞かないが、もしそうなったら国は謝罪するべきである。
ここでやるべきことは、駐留したり占領した国の婦女子たちを欲望のままにカネで買って「慰安」された米軍側の問題を追及することであろう。自分の国には公娼制度などない、女性にそうした行為をさせないといい放っているアメリカ人たちに、他国でしてきた恥ずべき行為を認めさせ謝罪させなければいけないはずである。
安倍首相に真の勇気があるならば、オバマ大統領に韓国や日本で行った米軍兵士たちの「買春」問題で謝罪するよう求めるべきだ。それが対等の関係ということなのだが、アメリカのいうなりになっている安倍首相には期待できないだろう。