『YouTube』に載ったアメリカのコメディー映画の1シーンだ。お付きを従えて葉巻をくゆらしながら歩く男は、あまり似てないものの、北朝鮮の金正恩・第1書記だ。北朝鮮はこれに怒った。
スパイもどきにキャップをかぶってピストル乱射
映画はこの秋アメリカで公開予定の「ザ・インタビュー」で、アメリカのトーク番組のプロデューサーと司会者が金正恩に独占インタビューすることになり、CIAから暗殺をもちかけられるという内容だ。金正恩演ずるのは、韓国系アメリカ人ランドール・パクさん。そっくりさんというほどではなく、いやむしろ全然似ていないといった方がいいくらいだが、映画はとげのあるパロディーが満載らしい。
YouTubeでも「お二人には世界で最も危険な国家に潜入してもらいます。北朝鮮の人民は金正恩のいうことをすべて信じている」などのセリフが流れ、ロケットが林立する平原をヘリが飛んだり、迫撃砲を撃ったり、ロケットを発射したりと、なかなかそれらしい。主人公が戦車に乗っていたり、宮殿前で記者団に囲まれたり、スパイもどきにキャップをかぶってピストルを手に派手な発砲シーンもある。
朝鮮中央通信「最高首脳部を冒涜中傷した犯罪者らは厳しい鉄槌を免れない」
北朝鮮の朝鮮中央通信は「われわれの最高首脳部を冒涜中傷し、敵対行為を働いた犯罪者らは、厳しい鉄槌を免れない」と怒りまくり、外務省報道官は「最も露骨なテロ行為、戦争行為」という声明を発表した。中央通信はさらに「アメリカ政府が映画の上映を黙認、庇護するなら、それに応じた断固かつ無慈悲な対応措置がとられることになろう」と、これはもう脅迫に近い。
コリア・レポート編集長の辺真一氏はこんな説明をする。「北朝鮮は最高指導者の権威、金正恩第一書記を誹謗中傷する者は絶対に許さないと再三警告してきたが、具体的なアクションを起こしたことは1度もありません」
ただ、韓国国防省はきのう26日(2014年6月)の午後5時ころ、北朝鮮が元山付近から北東へ向けてロケットを3発発射し、約190キロ先の海上に着弾したと発表した。この発射の意味はよくわからない。
映画に主演したセス・ローゲンさんはツイッターで、「金正恩はこの映画を見る計画を立てているだろう。気に入ってくれるといいね」と、ノーテンキな書き込みをしていた。まあ、「いいね!」をクリックかな。