「私は子供にとってどんな母親でしたか」
白眉は主人公の母親の若き日を演じた柴咲コウだった。子どもを置いて先立たねばならないと知り、そのうえで「私は子供にとってどんな母親でしたか」と問いかけるシーンときたら…。正直、迫力のある美人過ぎて、可憐、はかなげな役ははまらないと思い込んでいたのだけれど、いやぁ、良いです。柔らかで、透き通るようなのだけれど、1本芯が通っている。本当に強いのはこういうしなやかな人よねと思わせる、見事な大和撫子っぷり。死への恐怖から、彼女が感情を露わにする場面が刺さる、そして、主人公が出した答えも良かった。何を言っても正解にならない状況で、「そうきたか!」と思ったときには、涙がつうっと流れ出ていた。ぜひ、劇場でご確認ください。
しかし、「この世に生まれてきた奇跡に感謝」系のメッセージって、言葉に出すと薄っぺらくなるのはなんでかな。主題歌の歌詞は個人的にはちょっと直接的過ぎるかなと思います。とはいえ、見終ったあとは、安心して爽やかな気持ちになれます。最初にあげた3つのキーワードを聞いただけで「またかよ」と思った方には勧めません。確信犯的に、涙でのストレス発散を求めている方はぜひ。
(ばんぶぅ)
おススメ度☆☆☆