3年前に首つり自殺として事件処理された26歳の娘が、実は父親に首を絞められていたことが分かり、愛媛県警は父親の無職、八木橋嘉美容疑者(59)を傷害致死の疑いで11日(2014年6月)に逮捕した。
八木橋は妻と子供3人と暮らしていた2011年4月13日、四国中央市のアパートで長女(当時26)の首を絞め、さらにロープのようなもので首つり自殺に見せかけた。意識不明に陥った長女は病院に搬送されたが、翌日に低酸素脳症で死亡した。
近所の住民は気づいてた「自殺なんておかしい」
警察の調べに対し八木橋と他の家族は「娘が廊下で首を吊っていた」と話し、現場の状況に矛盾がなかったことから、司法解剖をせずに自殺と断定し処理された。ところが今年(2014年)1月になって、関係者から警察に「長女の死は自殺でない」との情報提供があり、再捜査し殺害がわかった。
実は、近所の住民も長女の死に疑問を持っていたという。八木橋が長女に対し日常的に暴力を加える姿が目撃されており、「カーッとなると見境がつかなくなり、子どもを思いっきり殴っていた」「道路の真ん中で角材で叩いていた。顔にアザができたり腕が折れたりしたこともある」と話している。
長女の自殺についても「おかしいとみんなで言っていた。顔が腫れていたとか、折檻されたのではないかとかいう噂がありました」という。
父親の暴行については警察も把握していた。10年7月に長女が足にヤケドを負い、手当てをした病院の医師が打撲の跡もあったことから虐待の疑いを持ち、警察に通報している。さらに、11年1月には長女自身が警察に「父親から暴行を受けた」と通報していた。しかし、警察では知的障害のある長女の供述が二転三転するため、立件は困難と判断して事件にはならなかった。愛媛県警は「犯罪による死を見逃し大変遺憾。再発防止に全力を尽くす」とコメントを出しているが、殺人を見逃したのではない。殺されるかもしれない激しい暴力行為を放置したのだ。
次女にもけがさせ裁判中の狂った父親
司会の小倉智昭「暴行を受けたと本人が通報したにもかかわらず首を絞められて死亡した。父親の暴行が激しかったから、家族も怖くて言えなかったのだろう」
為末大(元プロ陸上選手)「もしこういう条件なら、知的障害を持っている方が自分から名乗り出ても立件できなくなる。この辺の仕組みを考えないと同じようなことがまた起きてしまいますよ」。
産婦人科医の宋美玄「他人を角材で殴ったら逮捕されるが、家族だとしつけとか虐待とかの言葉で言い換えられてしまう。家族間でも暴力は反対がもうちょっと認識される必要がありますよ」
八木橋は今年2月にも次女(27)を蹴ってケガをさせ傷害容疑で逮捕、起訴されていて公判中だ。