「初期認知症」診断されても支援体制がない!孤立してウツになったり症状悪化したり…

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   認知症を初期の段階で診断できるようになってきたが、日常生活に大きな変化が見られないため周りから理解されにくく、支援体制も万全でない。しかし、初期認知症の対応がきちんと行われれば、重度の人の増加を食い止めることにもつながるのだ。国谷裕子キャスターはこう伝える。

「初期認知症の人たちへの適切な情報とケアが足りていないために、いわば診断されっぱなしで放置されています。このため、周囲から孤立しうつ症状に陥るなど病状を悪化させるケースも出ています。国は認知症施策推進5か年計画(通称・オレンジプラン)をスタートさせ、早期診断と早期対応を進めようとしていますが、モデル事業の現場では重度の人への対応で手いっぱいの状況です」

病名を告げるだけの医者

   東京で開かれた認知症に対する理解を深める勉強会に、7年前に初期認知症と診断された藤田和子さん(52歳)が出席し、初期認知症の人に対する支援の重要性を訴えた。藤田さんに異変があらわれたのは45歳のときだった。「同じ話を何度もする。子供からその話はこれで3度目だよといわれたこともありました。また、さっき食べた食事のことが思い出せなくなりました」

   藤田さんは総合病院の脳神経内科で脳の血流を検査した結果、アルツハイマー型認知症の疑いがあると告げられた。しかし、医師からは病名を告げられただけで、症状や今後の見通しなど詳しい説明はなかった。1年後、藤田さんは認知症専門医を訪ね、そこで薬を飲めば進行を遅らせることができると教えられた。治療は始まったものの、その後の生活を支援する体制がないことで、藤田さんの苦悩は深まった。

   国谷はある大学の認知症と診断した医療機関への対応についての調査結果を示した。「この調査では4割の人が医療機関の対応に満足していないと回答しています。理由としては、診断だけで説明がないこと、助言・情報提供がないことをあげています」

   ゲストの東京都健康長寿医療センター研究所・粟田主一部長)は「アルツハイマー型は高齢者にだけ起きる認知障害ではありません。誰にでも起きる可能性があります。このため、進行を抑制する薬もありますが、認知障害を起こしている部位が人によって違います。全部を1度に治そうとするのではなく、一つ一つの障害を起こしている部位と向き合うことが必要になります」

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