病気・ケガの「痛み」がまんするな!体が発する危険信号―「痛みの悪循環」で慢性化

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   突然襲ってくる突発的な痛み、持病の慢性的な痛み―痛みはどうして起こるのか、「アカデミヨシズミ」コーナーで、石原良純(タレント)が専門家に聞いてきた。

   駿河台日本大学病院・麻酔科の佐伯茂教授はこう解説する。「痛みというのは体が発する危険信号です。体に生じた痛みは時間経過によって2種類に分けられます。1つが急性痛といって、これは体が痛みの刺激を受けてすぐに感じる痛みです。気をつけなければならないのが数か月以上も続く慢性痛で、苦痛をがまんしていると痛みの悪循環が起き、痛みが慢性化してしまいます」

   痛みを治療せずがまんしていると、患部から出てくる痛み物質によって血流が悪くなり、患部周辺の筋肉が収縮・緊張してしまう。そうなると筋組織が酸素不足になって、痛み物質がますます出てきて神経を刺激しさらに血流が悪化する。これが痛みの悪循環だ。

温めたほうがいい痛み、冷やした方がいい痛み

   佐伯教授は「ひと口に慢性痛といっても大きく3つに分けられます。1つは切り傷・打ち身や捻挫などの外傷が原因のもので、外傷を放置したり治療が不十分などの原因で痛みの悪循環が起こり慢性痛化します。2つ目は心因性で、病気やけがの痛みが続いたことで気分が落ち込み、病気やけがが治ったあとも痛みだけが残ります。3つ目は神経の損傷によるもので、病気やけがになった時、神経まで傷付いてしまって起こります」

    石原は「痛みを感じたとき、温めた方がよいのか冷やすべきか、迷いますが…」と聞く。佐伯教授の説明はこうだ。「これはあくまでも大まかな目安ですが、急性痛は冷やすことで痛みが和らぐケースが多いです。急性痛は患部が炎症を起こしている(熱を持っている)ことが多く、冷やすことで炎症が落ち着き、痛みが緩和されます。

   それに対して慢性痛は、温めるほうが良い場合があります。慢性痛は血行不良によって患部周辺に痛み物質が溜まって起こることが多いため、温めて血行を促進させることで痛み物質を溶かして流すことができます。ただし、慢性痛というのは先ほどあげた3種類の原因が複雑に絡み合っていますから、必ずしも温めたほうが良いとは言いきれません。

   入浴後に和らぐような痛みでなら温湿布、逆に入浴時に痛みが強まってしまうならば、慢性痛であっても冷湿布をする方が良いでしょう」

最新「拡散強調MRI検査」傷んだ神経1本1本撮影してピンポイント治療

   石原は次に最新の検査法を求め千葉大医学付属病院を訪ねた。整形外科の大鳥精司医学博士が行っているのは「拡散強調MRI検査」と呼ばれ、神経繊維の1本1本まで鮮明に撮影することが可能な検査法だ。大鳥博士は「従来のMRI検査では神経の外形程度までしか撮影できず、どの神経が損傷を受けて痛みを発しているのかというところまでは分かりませんでした。この拡散強調MRI検査ならば、たとえば断裂した神経をピンポイントで特定できます。より確実かつ正確な痛みの治療が可能になりました」

   病人、けが人が精神的に最もダメージを受けるのはおそらく「痛み」だ。これが改善されると、治療効果も大きく変わってくるのだろう。期待したい。

文   ナオジン| 似顔絵 池田マコト
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