原爆の語り部に修学旅行中の中学生が「死に損ない」などと暴言を浴びせていたことがわかった。ノータリンはどこにでもいるが、ここまで心の劣化が進んだかと暗澹たる思いになる。
ことが起こったのは先月27日(2014年5月)。語り部として活動している森口貢さん(77)ら「長崎証言の会」の9人が、修学旅行で訪れた横浜市の公立中学校の3年生に被ばく遺構を案内していた。森口さんは10人ほどを爆心地近くの小学校へ案内して、話を始めようとしたところ、別行動をしていた男子生徒5人が「死に損ないのくそじじい」と大声をあげ、他の生徒にも「笑え」「手をたたけ」などとはやし立てた。
ツアーが始まる前、森口さんが態度の悪い男子生徒1人をきびしく叱ったことを根に持ってのことだったらしい。森口さんが「話を聞いて」といっても妨害の拍手を止めず、その間に何度も「死に損ない」と叫んだという。
横浜の公立中学校―校長「指導不十分でもうしわけない」
森口さんは翌日、手紙で「私は死に損ないではありません。一生懸命生きてきたのです」と無念を伝えた。さらに、学校に電話したところ、校長は「指導不十分でもうしわけない」と謝罪したという。森口さんは「侮辱というか、そういう言葉で表現できないくらい悲しい」という。
井上貴博アナは「若い世代に戦争の悲惨さを伝えようという語り部への暴言です」と、産経新聞が伝える森口さんのコメントを読んだ。「こんな経験は初めてで悲しい。戦後69年が経ち、戦争の悲惨さがわからない社会の雰囲気の中で、子どもたちが育っているのではないか」
井上「われわれ自身も戦争を知りませんけど…」
キャスターの齋藤孝「情けないですよね。修学旅行に行く前に指導すべきでしょう、どれだけ悲惨なことであったかをね」
とはいえ、スタジオはおろか、TBS中を、いや現役世代をいくら探しても戦争を知ってる者はいない。学んだ者だけが知る。学ばない者は知らない。被爆者への差別だってあった。根底にあるのは無関心。いまの原発事故の風評と同根なのだが、説明してもわかるかどうか…。