中国・天安門殺戮直前、私もあそこにいた!あれから25年―当時と変わらない恐怖政治
今から25年前の6月2日、私は北京の天安門広場にいた。あふれるほどの若者が広場を埋め尽くし、隅のほうではハンガーストライキをする集団もいた。だが、雰囲気は日本に伝えられているような緊迫したものではなく、アイスキャンディ売りがそこここにいて、炎天下の慈雨となっていた。
その日の夕方、私は日本に帰った。「天安門事件」が起きたのは2日後である。私が知る限り、天安門に集まった学生や若者、労働者たちに「政府を転覆させよう」という差し迫った動きはなかったように見えた。
だが、怯えた鄧小平ら指導者たちが人民解放軍を出動させ、戦車や実弾を発射して天安門前に集まっている多くの人たちを殺戮したのだ。この様子はCNNのカメラが衛星を通して生中継して全世界の人々の知るところとなり、中国政府への怒りを燃え上がらせた。
今年も天安門事件を前に、習近平は次々と改革派知識人らを拘束し、北京市内では前例がないほどの厳戒態勢が敷かれていると週刊文春やニューズウィーク日本版が伝えている。
往時とは中国の経済力は大きく変わったが、中身は民主国家とはほど遠い恐怖政治の国そのままである。