身元不明のまま4年間も施設に保護されている女性が神奈川県鎌倉市にいる。記憶をなくして名前もわからない。仮に「鎌倉花子」と名づけられて、家族からの連絡を待ち続けている。警察庁によると、2013年に認知症が原因で行方不明になったという届け出は1万322人いる。1年間で715人増え、151人の行方が今もわかっていない。
警察庁はきのう5日(2014年6月)、早期発見と保護のため関係機関との連携強化を都道府県警察本部に指示した。
警察庁「捜査のデータベースの活用」「名前や写真のネット公開」
鎌倉花子さんは4年前、鎌倉市内で裸足で電車に乗ろうとしたところを保護された。60歳代ぐらいで、ほっそりとした顔立ち。「子どもにめぐまれず、ずっと夫婦2人きりでした」というほかは、住所や育った環境も思い出せない。取材にも普通に会話し、認知症というより記憶喪失の可能性が高く、「思い出そうとすると苦しい」という。
吉永みち子(作家)「鎌倉さんの本当の名前を知りたいですよね。名前を失うのは人生の大半が消えてしまうことで、一刻も早くいろいろな手当てをしないと…」
飯田泰之(明治大准教授)「私の祖母も十数年前ですけれど、東京・中野の自宅をふっと出てしまって、十数キロ以上離れた所で見つかったことがあります。老人はびっくりするぐらい遠くまで行ってしまうんですよ。警察も所轄を越えて探すようなことが必要だと思いますね」
警察庁は服装や所持品などからも探せる捜査のデータベースの活用や、家族の同意を得て名前や写真をネット上の公開することを考えていくという。
認知症介護研究・研修センターの永田久美子部長は「警察、行政、民生委員、地域の人たちのつながりができていなかった。そのルールをどう作るか、補強する必要があります」と話す。
司会の羽鳥慎一「高齢化は確実に進むので、行方不明者は増え続けてしまいます。こわいですね」
現状はもう待ったなしなのだ。