<もう捕まえてください……。「警視庁組織犯罪対策5課」捜査員の間を、その言葉が駆け巡っていた。
行動確認を続けていた彼らは、ASKAが覚醒剤を日常的に使用しているという確証を得て、洋子さん(ASKAの妻=筆者注)に接触。そして、そのやりとりの中で飛び出したのが、先に記した台詞なのだ。
さる捜査関係者は、
「ASKAが栩内(とちない=筆者注)の部屋を訪れる日の特定、自宅に覚醒剤やMDMAがあるという具体的な証言。これらについては、内部からの情報が不可欠だった」
と、逮捕には洋子さんの協力があったことを匂わせる。「人の出入りは普段あまりない」(近所の住民)という目黒区のASKA邸だが、逮捕前日は打って変わって、「関係者が続々訪れ、深夜まで部屋の明かりが消えることがなかった。翌朝のASKA逮捕を前提に、その後について、『作戦会議』をしていたようです」(芸能関係者)>
人気デュオ「CHAGE&ASKA」のASKA(本名・宮崎重明=56)の逮捕は『週刊文春』(2013年8月8日号)がスクープした「シャブ&飛鳥の衝撃」が発端である。そのとき私は「週刊文春の『シャブ&飛鳥』はタイトルもさることながら、内容的にも衝撃度は高レベルである」と書いた。しかしその後、ASKAが週刊文春のインタビューに答えて「覚せい剤なんかやっていない」と否定したこともあって、このままうやむやになるのかと心配していたが、警視庁は慎重に内偵をしていたようだ。
5月17日(2014年)、午前7時30分。東京・港区南青山の高級マンションからASKAが出てきたところを逮捕した。しかも、冒頭に引用した『週刊新潮』によれば、ASKAの年上の妻が、もうこれ以上堪えられないから捕まえてくれと、捜査員に漏らしたというのである。
<警視庁がASKA容疑者の尿を検査した結果、覚せい剤と合成麻薬MDMAの陽性反応が出たことがわかった。自宅からは覚せい剤やMDMAとみられる違法薬物が押収されており、同庁は使用の疑いでも調べる>(朝日新聞5月18日付)
週刊文春によると、捜査員はASKAが週末に栩内香澄美(37)の自宅に通ってシャブをやり、朝帰りするというパターンを把握していた。女の自宅から出たゴミの中からも薬物反応が出ているという。そのブツとはティッシュペーパーで、ASKAと栩内の性行為で使用されたため精液が付着していたという。
ASKAの「シャブ愛人」栩内香澄美―パソナじゃ有名だった「南部代表お気に入りの特別待遇社員」
ASKA逮捕で俄然クローズアップされた栩内という女性だが、いったいどんな女性なのだろうか。彼女は逮捕当時、パソナグループの中のメンタルヘルスケアを業務とする「セーフティネット」の社員だった。彼女の友人によれば、青森生まれで、上京後はカメラマンのアシスタント、ネイリストなど職を転々とし、20代前半に教育関連会社に勤めた後、人材派遣の大手「パソナ」グループ経営コンサルティング会社「I」に就職、以来、パソナグループの会社を渡り歩いて現在に至っているという。
彼女が以前在籍していたパソナグループの元同僚は、「パソナグループ代表南部靖之(62)さんの『お気に入り』として有名」だったと週刊文春に話している。以前、彼女と一緒に働いていた女性はこう語る。
<「栩内さんは、異例の厚遇をされていました。今住んでいる南青山のマンションは家賃二十万円超とも言われますが、会社が借り上げてくれたものです。立場は『秘書』ということになっていました。タイムカードは押さなくていいし、幽霊社員のようなもの。よく見ると持ち物はブランド品ばかりでしたし、グループ内の別会社からお手当が出てるのではないかと言われてました」>
南部代表は元麻布に政財界のVIPを接待するための迎賓館「仁風林(にんぷうりん)」をもっているそうだ。そこで頻繁にパーティーを催し、政界や芸能人なども多く訪れていたという。ASKAは南部代表のお抱えアーティストで、「仁風林」のパーティで2人は知り合ったといわれる。
私の友人に覚せい剤に詳しいのがいる。ASKA逮捕の話から、覚醒剤をやってセックスするとき、女性にもシャブをやる必要はなく、女のアノ部分にシャブを塗ってやれば女は最高のエクスタシーを味わうことができるという。そうすれば女のほうは常習にならずにすむ。酒井法子が覚醒剤中毒にならなかったのもそうだったからではないかと、友人は推測していた。栩内容疑者はどうなのだろう。
ASKAの元運転手雇ってた清原和博 結びつき強く「精神的に不安定な状態」
週刊新潮によると、今はインターネットを使って覚醒剤が簡単に手に入るという。現役密売人がこう話す。<「ネット上には、覚醒剤を売っている店の名前が一覧になっているサイトある。『○ネコ☆ヤマト』『安心堂』といった店名をクリックするとすぐに店のホームページが表示され、そこに書いてある『商品一覧』という部分を押せば、いきなり『氷0・25グラム=10000 (1P)』などと隠語で表示される。意味は覚醒剤1パッケージ0・25グラム1万円。どの店もホームページの中に、注文用のメールアドレスを載せていてメールで注文できる。受取方法は、手渡しがほとんどですが、郵送対応している店もある。覚せい剤は隠語で『エンピツ』とか『アイス』と呼ぶこともある。『エンピツ』は注射器本体のことで、単位は『本』。『アイス』はあぶり用の結晶で、単位は『グラム』」>
気になるのは有罪になった場合のASKAの刑期だが、週刊新潮で若狭勝弁護士がこういう。<「覚醒剤の初犯の場合、懲役1年6か月、執行猶予3年がスタートです。今回はこれにMDMAが追加されて量刑が決まる。でも実刑はないと思いますよ」>
これほど大量に、それも長期間の中毒者に執行猶予付きというのは、ちと甘すぎる気がしないでもない。
同じように週刊文春で覚醒剤疑惑を報じられた元プロ野球選手の清原和博は、週刊文春によれば「精神的に不安定な状態」になっているという。<「ASKAの運転手だったIという人物が、その後、清原に運転手として雇われた」(清原の友人)というくらい、2人は結びつきが強く仲がいい>そうだ。
以前、ASKAは「パソナの紹介で俺は安倍(晋三)さんを知っているから大丈夫だと清原にうそぶいた」こともあったというが、逮捕されてしまった。同じように週刊文春に麻薬疑惑を書かれた清原はどうなるのだろうか。
ASKA覚醒剤疑惑、佐村河内守スキャンダル…スクープ続きの週刊文春さすがに販売部数トップ
佐村河内守スキャンダルも見事だったが、週刊文春の情報力と取材力には感服する。昨年後半(7月~12月)のABCによる雑誌の販売部数が公表されたが、週刊文春が週刊誌部門で堂々第1位なのも当然である。
週刊文春46万8910部、週刊現代が36万6829部、週刊新潮が35万0454部、週刊ポストが31万9528部、FRIDAYが15万1723部、週刊朝日が11万2600部、今回からABCに入ったFLASHが11万354部となっている。この中で、前年同期比100%を超えたのは週刊ポストだけで100.43%。週刊現代は86.33%、FRIDAYは91.58%、週刊朝日は86.56%である。週刊現代と週刊朝日の落ち込みが目立つ。
その好調な週刊ポストだが、飯田昌宏編集長が6月で替わるという話がある。これまでの週刊ポストとは違う路線をつくってきた名編集長だけに、ここで替わるのは惜しい気がする。
「大飯原発再稼働差し止め」「厚木基地飛行差し止め」当たり前の判決下すようになった裁判官に期待
パソコン遠隔操作事件で威力業務妨害などの罪に問われていた片山祐輔被告(32)が「有罪」を認めたのは自業自得であるが、彼の弁護士や冤罪の疑いありと逮捕に疑問を投げかけていた『週刊現代』などは、ガックリきたことであろう。人は見かけによらないものだ。
このところ、世の中の変わり目を予感させる報道や判決が続いている。朝日新聞がスクープした東京電力福島第一原発所長・故吉田昌郎氏が政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」(吉田調書)は衝撃的な内容がふんだんにある。
事故直後、吉田所長の待機命令を無視して、9割の東電所員たちが現場を離れ撤退していたという事実もそうである。これは座礁した韓国船から船長ら乗組員が真っ先に脱出したことと同じではないのか。原子力規制委員会の田中俊一委員長は朝日新聞の取材に対し、「(吉田調書は)読んでいない。知らない」と答えたというが、即刻読むべきである。
こうしたことも含めて、東京電力や政府事故調が隠していることはまだまだあるはずだ。都合の悪いことにフタをしたまま再稼働しようという安倍首相や他の政治家連中が、雁屋哲の漫画『美味しんぼ』の記述を批判するなど笑止千万である。
注目の判決は2つ。ともに朝日新聞の5月22日付から引用。<関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)をめぐり、住民らが関西電力に運転の差し止めを求めた訴訟の判決が21日、福井地裁であった。樋口英明裁判長は250キロ圏内に住む住民らは差し止めを求めることができると判断し、運転差し止めを命じる判決を言い渡した>
<米軍と自衛隊が使う厚木基地(神奈川県)の騒音訴訟で、横浜地裁は住民の苦痛の訴えに理解を示す判断を下した。 損害賠償だけではない。自衛隊機は原則として夜間と早朝は飛んではならない。全国の基地騒音訴訟を通じて、初めての飛行差し止めを命じた>
まだ地裁の段階だが、こうした『当たり前』の判決が出てくるようになったのは、もしかすると裁判官たちが『正義』という問題を真摯に考え出したからかもしれないと、淡い期待を抱かせてくれる。
集団的自衛権で死亡保険大幅減額の自衛官!「犬死したくない」ネット書き込み急増
集団的自衛権の容認に向けて安倍首相が動き出したが、容認賛成派ではあろうが、週刊新潮に興味深い特集が載っている。「安倍総理剣が峰『集団的自衛権』の七不思議」がそれだ。
集団的自衛権が容認されれば、一番影響を受けるのは自衛隊である。その自衛隊に動揺が走っているというのだ。防衛省関係者がこう嘆息する。<「ネットの掲示板には『戦争好きなアメリカのために犬死にしたくない』、『えらい迷惑、人生が狂う』といった、明らかに自衛官からの書き込みが目立ちます。一方、東日本大震災での自衛官の働きに感動した20代の隊員にも不安が残る。今回の議論で、自衛隊の活動が感謝されるものばかりでないと改めて思い知らされたでしょうからね」>
それに、もし戦闘で死んだとしても命の値段が安くなってしまうのだ。イラクに派遣されたときは非戦闘地域ということで、PKO保険やその他団体保険を合わせると3億円になったという。しかし、民間保険会社では戦争や紛争での死亡には保険が適用されないため、1億円程度になってしまうそうだ。「1億円でもいい、俺は祖国のために死ぬ」という若者がどれだけいると安倍首相は考えているのだろう。
集団的自衛権を容認したとして、日本が直面している危機の中で、最も可能性のあるのは北朝鮮と韓国の有事であろう。そのとき自衛隊はソウル市民や韓国にいる多くの日本人を助けるために行けるのだろうか。そのためには、<「日本と韓国が軍事同盟を結ぶ必要がある」>と日本大学法学部の百地章教授はいう。しかも、そのためには、解釈改憲ではなく憲法改正がどうしても必要になるのである。このように、現在議論されている限定容認ではその詳細に大きな隔たりがあると週刊新潮はいっている。
週刊新潮の真意は、だから小手先ではなく憲法改正せよということなのだろうが、それほどの覚悟が安倍首相にあるとは、私にはとても思えない。公明党が集団的自衛権容認はできないと突っ張れば、安倍首相は踏ん切れないとチョッピリ安心しているのだが、甘いかな。