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集団的自衛権で死亡保険大幅減額の自衛官!「犬死したくない」ネット書き込み急増

   集団的自衛権の容認に向けて安倍首相が動き出したが、容認賛成派ではあろうが、週刊新潮に興味深い特集が載っている。「安倍総理剣が峰『集団的自衛権』の七不思議」がそれだ。

   集団的自衛権が容認されれば、一番影響を受けるのは自衛隊である。その自衛隊に動揺が走っているというのだ。防衛省関係者がこう嘆息する。<「ネットの掲示板には『戦争好きなアメリカのために犬死にしたくない』、『えらい迷惑、人生が狂う』といった、明らかに自衛官からの書き込みが目立ちます。一方、東日本大震災での自衛官の働きに感動した20代の隊員にも不安が残る。今回の議論で、自衛隊の活動が感謝されるものばかりでないと改めて思い知らされたでしょうからね」>

   それに、もし戦闘で死んだとしても命の値段が安くなってしまうのだ。イラクに派遣されたときは非戦闘地域ということで、PKO保険やその他団体保険を合わせると3億円になったという。しかし、民間保険会社では戦争や紛争での死亡には保険が適用されないため、1億円程度になってしまうそうだ。「1億円でもいい、俺は祖国のために死ぬ」という若者がどれだけいると安倍首相は考えているのだろう。

   集団的自衛権を容認したとして、日本が直面している危機の中で、最も可能性のあるのは北朝鮮と韓国の有事であろう。そのとき自衛隊はソウル市民や韓国にいる多くの日本人を助けるために行けるのだろうか。そのためには、<「日本と韓国が軍事同盟を結ぶ必要がある」>と日本大学法学部の百地章教授はいう。しかも、そのためには、解釈改憲ではなく憲法改正がどうしても必要になるのである。このように、現在議論されている限定容認ではその詳細に大きな隔たりがあると週刊新潮はいっている。

   週刊新潮の真意は、だから小手先ではなく憲法改正せよということなのだろうが、それほどの覚悟が安倍首相にあるとは、私にはとても思えない。公明党が集団的自衛権容認はできないと突っ張れば、安倍首相は踏ん切れないとチョッピリ安心しているのだが、甘いかな。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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