関西電力の大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働差し止めを求める住民訴訟で、福井地裁は21日(2014年5月)、再稼働を認めない判決を言い渡した。東京電力福島原発事故後、初の再稼働差し止めを命じる判決で、他の同様の訴訟に大きな影響を及ぼしそうだ。
判決ではまず、「生存を基礎とする人格権は憲法上の権利であり、法分野において最高の価値を持つ」とし、「原発は人格権よりも劣位に置かれるべきで、原発は電気を生み出す一手段に過ぎない。憲法が保障する人間の暮らしのほうが大切だ」と断じた。そのうえで、原子力規制委員会が現在、再稼働に向け審査中の大飯原発について、「地震が起きた時の原子力の冷却機能などに欠陥がある」「地震の危険性についてあまりにも楽観的だ」と厳しく指摘した。
経済優先より本当の「国富」提案する画期的判断
宮田佳代子(城西国際大客員教授)「私たちが迷うところとして、経済的損失をこうむるから再稼働に賛成するという意見がありますが、これに対し(判決では)豊かな国富とは、そこに国民が根をおろし生活していることこそ国富であるという言い方をしています。もう私は一言一句に膝を打つような判決だと思いましたね」
松尾貴史(タレント)「ぼくらが日常的に考えるチャンスというか、触れるチャンスのない哲学と向きあうチャンスになるような判決かなという気がしますね。上級審でどうなるかわかりませんが…」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「原発に関してもやもやしている人がいたら、ぜひこの15ページの判決を読んでほしいです。平易な文章で書かれ、きっと感動すると思う」
関電は判決を不服として22日も控訴する方針だが、国論を二分している原発再稼働の是非論に新たな指針を与えた今回の判決が、全国で30件ほどある原発再稼働差し止め訴訟へどんな影響があるのか注目される。