腸管出血性大腸菌O‐157がハイペースで流行し始めている。国立感染症研究所の集計によれば、今年(2014年)4月20日までの患者数はのべ126人で、昨年の同時期の67人に比べ約2倍となっている。原因の約4割が馬刺しによるものだという。一般財団法人・東京顕微鏡院の伊藤武氏は「馬刺しが原因というのは非常に珍しいですね。これまでは馬はO-157を保有していない動物と思われていたんです」と話している。何が起こっているのか。
飲食店は神経ピリピリ…「専用のまな板や包丁で調理してます」
今年3月、福島県会津若松市の食肉加工会社の馬刺しを都内の飲食店が客に出し、6人のO-157感染者が出た。うち1人は入院し、加工会社は営業停止処分を受けた。2011年に生の牛レバーの提供が禁止され、それにともなって馬刺しの注文が増えているという背景がある。馬肉の生産量日本一の熊本県の馬肉生産量は2倍近くになったという。
東京・台東区にある原始焼会津馬刺し「すみお」では、厚生労働省が作成した衛生基準のガイドラインに沿って専用まな板や包丁などを使っている。宮島央一店長は「食中毒などがおきやすい時期になるので細心の注意をして提供します」と話す。
馬が感染していたのか、加工途中で汚染されたのか…
感染症に詳しい東京医科大学の松本哲哉主任教授はこう解説する。「今年のO-157は3月から4月にかけて急増しています。これから夏の食中毒流行期にかけて、さらに増える可能性があります」
井上貴博アナ「馬刺しからのO-157流行の原因は何でしょうか」
松本教授「生肉を食べたい人が、ユッケの食中毒もあり馬刺しに変えたことです。O-157に汚染されていた馬を馬刺しとして加工したのか、あるいは加工の途中でO-157に汚染されたのか、どちらなのかは今のところはっきりしません」
しかし、客としてはその店がO-157にどのくらい注意を払っているかなんてわからないからなあ。あのさっぱりした馬刺しが好きという向きは悩ましい夏になりそうだ。