パソコン遠隔操作事件で東京地裁はけさ20日(2014年5月)、片山祐輔被告(32)の保釈を取り消した。片山はえん罪だとする「真犯人」を名乗るメールが片山の自作自演とわかったためだ。真犯人と名乗るメールをもとに「公訴取り下げ」を申し立てていた弁護団はメンツ丸つぶれ。これが裁判にどう影響するか注目される。
「控訴取り下げ」申し立ての弁護団もメンツ丸つぶれ
「真犯人」を名乗るメールが複数の報道機関などに届いたのは先週金曜日(16日)の午前11時37分だった。事件の公判中で片山は出廷していた。メールは「あ。真犯人です。お久しぶりですね」と書き出し、片山のパソコンをウイルス感染で乗っ取り、遠隔操作事件を起こした。片山氏はスケープゴート」という内容だった。この後の会見で片山は「信憑性が高い。これをもってこの裁判を終わりにしてほしい」としゃべっていた。
しかし、片山の行動を監視していた警視庁捜査1課の捜査員が、「真犯人メール」の前日の15日に片山が荒川河川敷で何かを埋めるのを目撃していた。現場を調べたところ、スマホが埋められていた。これに「真犯人メール」の文面の発信記録があり、スマホの付着物が片山のDNAと一致した。予約送信のアプリを使って発信したとみられ、東京地検はきのう保釈取り消しを請求していた。
弁護団はきのう、「真犯人」メールを根拠に地検に公訴取り下げを申し立て、佐藤博史弁護士が会見したが、片山は姿を見せなかった。この日午前、地検の動きを片山に伝えたあと連絡がとれなくなっていた。夜になって片山は電話で「メールは自分がやった」と認めたという。佐藤弁護士は足利事件のえん罪を立証した人だが、これでは立つ瀬がない。
「予約送信」のスマホ埋めてアリバイ工作!尾行の捜査員しっかり確認
西村綾子リポーターが埋めた現場の河川敷で2つのスマホを使ってアプリをテストしてみせた。2分後に送信するようセットしたスマホを地中に埋めると、正確に2分後、もうひとつのスマホに着信があった。普通にあるアプリだという。
裁判は他人のパソコンを遠隔操作して、「脅迫メールを送った」という威力業務妨害容疑だが、逮捕の決め手は事件の犯人が予告した「江ノ島のネコ」に首輪をつける片山の防犯カメラ映像だった。
しかし、片山は一貫して犯行を否定し無罪を主張している。遠隔操作ウイルスを自作する能力があったかどうかなど、ネットなどでは「えん罪ではないか」という見方が広がっていた。東京地裁は3月に保釈を認めていた。
ロバート・キャンベル(東京大教授)は辛辣だ。「持ち主の特定ができないSIMカードを入れるなど入念だったが、警察に尾行されていることに気づかないという浅はか。要するに愉快犯ですよね。自作自演はわかったとしても、2年前の事件と結びつくかどうか」
司会の加藤浩次「今の裁判とどうつながるんでしょうねえ」
キャスターのテリー伊藤「裁判官の心証は非常に悪くなりますよ。連絡がとれないといっても、警察は知っていたと思う」
次の公判は5月22日午前10時。さてどのツラ下げて現れるか、見ものだ。