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5万円の日本酒、7万円の豆腐、15万円ステーキ…カネ捨てたくてたまらない奴いるんだねえ

   『週刊新潮』の「総予算50万円でやってみた『高すぎる食べ物』味覚探訪記」を紹介しよう。世の中には高い食べ物があるものだと驚く。ここに出ているものを挙げてみよう。

   まずは石川県白山市鶴来地区。安土桃山時代から続く老舗「菊姫酒蔵」には一升瓶で5万円の日本酒「菊理媛」がある。

   北九州市小倉南区湯川にある「卵家」の1本1万800円のカステラ。

   お次は大阪北新地にあるイタリアン・レストラン「ノノピアーノ」の2斤で1万円の食パン。

   京都の清水寺に近い石畳の坂道に沿って店を構える「総本家 ゆどうふ 奥丹清水」。1635年創業の老舗だが、その地下の豆腐工房で作られた豆腐が1丁7万円。

   大阪府八尾市の住宅街にある喫茶店「ザ・ミュンヒ」のコーヒーは40ccで7万5000円也。

   名古屋市名東区にある「高針めんや」には1万円のラーメンがある。白髪ネギに金箔、キャビアが添えられ、伊勢エビやどでかいステーキがのっているそうだ。

   東京・五反田駅から徒歩5分ほどのところにあるステーキ屋「カサローエモ」。ここには200グラム15万円のステーキがある。

   私が行ったことのある店は「カサローエモ」だけである。普通の喫茶店のような店の入り口にステーキ15万円となにげなく書いてあるのだ。最初見たとき、間違いだろうと何度も見直した。

   ジャニーズのタレントがよく来るとネットにはあった。とても15万円のステーキは食べられないので、昼にたしか4000円くらいだったと思うが、ハンバーグステーキを食べに行ったことが1度だけある。おいしかったことはおいしかったが、神田神保町の「キッチン南海」で食べるハンバーグのほうがなんぼか私にはうまい。

   カネを捨てたくてたまらない人間が行けばいいのだ。食べ物は身の丈に合ったリーズナブルな値段の店がいい。そう思うのは「京味」や「麤皮」へ行けなくなったひがみもあるかもしれない。だが今の私には、場末の居酒屋の隅で冷や奴を肴に「黒霧島」の水割りを呑んでいるほうが居心地がいい。今晩は神田司町の「みますや」か神保町の「兵六」へでも行ってみようか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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