KADOKAWA・ニコ動「統合」―次のM&AターゲットはLINEか?
あまりめでたい話のない出版界だが、KADOKAWAとニコ動のドワンゴの経営統合という大きな動きがあった。この2社が一緒になって何をやるかはまだよくわからないが、メールマガジン「出版人・文徒」(今井照容氏)からその部分を引用してみよう。
<私からするとKADOKAWAとドワンゴの経営統合にかかわる報道は、どれもピンと来ない。周知のようにKADOKAWAは次々に出版社をM&Aで買収することで成長してきた企業である。成長戦略をM&Aによって描いてきたと言って良いだろう。具体的にいえば、角川書店、メディアワークス、富士見書房、SSC、エンターブレイン、アスキー、中央経済社、メディアファクトリーといった出版社がひとつの資本の下に結集したわけだが、もともとの単位で見ていったならば、大きく成長した出版社があるかといえば、ないのである。
出版マーケットを考えれば、今後は出版社を買収することで株主を納得させるだけの数字を弾き出せることはできない段階を迎えていたと言って良いだろう。しかも、映画関連のビジネスは重荷になりつつあった。そこでホールディングカンパニー体制にあった企業群を結集するとともに贅肉を削ぎ落とし、次なる買収の準備に入る必要があった。昨年、ホールディングカンパニー体制を解消し、KADOKAWAのもとに結集を図ったのは、ドワンゴと経営統合するための第一歩であったのである。KADOKAWAに結集するとともにドワンゴと資本提携したわけだが、この資本提携は結婚を前提にしてのお見合いであったのである。
これは断言しても良いと思うが、コンテンツに長けたKADOKAWAとプラットフォームに長けたドワンゴがひとつになったからといって、それほど大きなシナジーを望めるわけではあるまい。KADOKAWA・DWANGOが成立した段階で、新たなM&Aなり、経営統合が模索されることは間違いあるまい。私がもしKADOKAWA・DWANGOの関係者であれば、次のテーマはグローバル化に耐えられる「拡大」を考えるだろう。具体的に言うのであれば狙いはLINEである>