党執行部三役の一角・野田聖子総務会長も「安倍批判」足元グラつき始めた政権
立憲主義を蔑ろにし、憲法を踏みにじる安倍首相のやり方には怒りを通り越して呆れ果てるが、安倍首相のチェックをするべき自民党は首相にへつらい、思っていても何もいわない輩ばかりである。だが、そんな自民党の中でも正論をいう人間がいた。やはり女性である。野田聖子総務会長(53)は5月8日、国会内で記者団に「党内は必ずしも(集団的自衛権の行使容認に)一直線に行こうという人だけではない」と発言したのだ。また、同日発売の月刊誌『世界』6月号のインタビューにも答えて、「軍事的な役割を果たすことと引き換えに何がもたらされるのか、首相はもっと提示すべきだ」と注文をつけた。これに対して古賀氏はこう語っている。
<「野田聖子は大したもんだよ。個人の意見というのではなく、総務会長という立場で総理にきちんと意見を言ったんですよ。党内ではなかなか言葉を発信できないけれども、みんなが何をいちばん心配してるのか――。彼女はそれを把握して総理にしっかり伝えたんです。上から言われたことを何でも『はい、はい』って言う人は、逆に頼りにならないじゃない。信用できないですよ。その点、野田さんは立派だと思います」>
安倍の新提案は野田会長のいる総務会で否決されるかもしれない。堂々と国民に信を問う覚悟もなく、姑息な「憲法ハイジャック」(小林節慶應大学名誉教授)のようなやり方は、いくら自民党が腐っているとはいっても認めるわけにはいかないのは当たり前である。
古賀氏や野中広務氏や、かつてタカ派といわれた中曽根康弘氏も安倍首相の右傾化には危惧している。集団的自衛権という虎の尾を踏んでしまった安倍首相にどうやら『辞職』の二文字がほのかに見えてきたと、私は考えるのだが。