自民党大物OBたちの危惧…ハト派もタカ派も「安倍の右傾化急ぎ過ぎ心配だ」
<「日本を取り巻く安全保障の環境が変わってきた、だから自衛隊の位置づけや憲法についての議論が起きてくることは否定しません。
しかし戦後69年、あの荒廃から今日の繁栄がある根底に現行憲法があったということは紛れもない事実です。
とりわけ憲法9条について私は『世界遺産』だと思っています。大切にしたいし、大切にしなければならない。歴代の政権も集団的自衛権については『憲法9条が許容する必要最小限の武力行使の枠を超えるもので行使しない』ことを長年積み上げてきました。それは非常に重たいものです。
今は状況が変わって見直すというのであれば、定められた国会の手続きに従って憲法9条を改正してから、集団的自衛権の議論に入るのが本筋ではないか。政治は王道を歩むべきです。憲法解釈の変更というのは不十分な手続きだし、国民にとっても不幸なことだと思います」>
これは『週刊朝日』の「自民党元幹事長古賀誠インタビュー『右傾化速すぎ、危険な暴走だ』」からの引用である。古賀氏は2012年11月に政界を引退して、現在は派閥「宏池会」(岸田派)の名誉会長である。
古賀氏は2歳だった1942年(昭和17)に父親が出征し、4歳の時にフィリピンのレイテ島で父親が戦死した。焼け野原で苦しい生活を強いられた経験をした世代として、「平和ほど尊いものはありません。憲法9条は絶対です。これらのことを次の世代に伝えていく責任があると思っています」と話している。
安倍首相の『私的』諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(法制懇)の全文が5月14日(2014年)付の朝日新聞の朝刊に掲載された。安倍首相と同じ考えを持つメンバーで構成された法制懇だから予想されていたことだが、日本を取り巻く安全保障環境の変化を強調して、憲法が認める「必要最小限度」の自衛権の範囲に集団的自衛権を含める憲法解釈に変更するよう政府に求める内容だ。当然ながら朝日新聞は「安全保障論を理由に、国の最高法規である憲法を『骨抜き』にしてしまう」ものだと批判している。
いまや共産党と並ぶ憲法擁護派の公明党の山口那津男代表は、集団的自衛権行使を容認するならば憲法改正すべきだとして、解釈改憲で容認するような「乱暴なことをすれば」信頼関係が崩れると安倍首相を牽制している。