健康食品「機能表示」規制緩和―お手本のアメリカでは科学的裏付け乏しいまがいもの氾濫

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   政府の進める規制改革で健康食品の表示が大きく変わろうとしている。現在は医薬品や国の審査を受けたトクホ商品にしか認められていない体への機能の表示が、企業の自己責任で認められるようになる可能性があるという。健康食品メーカーでは業界の活性化につながるなどの期待が高まっている。

緩和で市場は4倍に拡大!メーカー大儲け

   政府が参考にしようとしているのがアメリカの規制緩和だ。約20年前、健康食品に機能の表示が認められたアメリカの健康食品市場は、20年間で4倍の3兆2000億円に成長した。その一方で、科学的な裏付けの乏しい商品が氾濫し、「表示の要件を厳しくするよう求める揺り戻しが起きている」(科学ジャーナリストの松永和紀)という。

   アメリカの制度は、機能の表示をするためには人間を対象にした試験で有効性が認められていることが条件だが、その根拠となる論文を国に届け出る義務はあるが、審査などは基本的にないという。

   2012年にアメリカ食品医薬品局が127の健康食品について抜き打ち調査を行い、根拠となる論文を調べるなどした。すると、ほとんどの商品は科学的裏付けが不十分で、なかには動物の実験結果や大学生のリポートを根拠にしている商品もあった。

消費者が損害賠償請求!1200万人に和解金

   消費者が効果のない商品を販売したメーカーに対して、損害賠償を求めるケースも出ている。「軟骨が再生」「1週間で関節の動きが改善」などと謳った商品の訴訟では、メーカーが消費者1200万人に和解金を支払うことになったという。

   この訴訟の原告代理人をつとめたスチュワート・ウェルトマン弁護士は、「科学的根拠のない健康食品で人からおカネを奪うのは『大規模に行われる小さな詐欺』だ。効果のないモノで経済を成長させるべきではない」と指摘している。

*NHKクローズアップ現代(2014年5月13日放送「健康食品が変わる 規制改革の波紋」)

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