人気マンガ「美味しんぼ」が福島県などから激しい抗議を受けている。小学館発行「週刊BIG COMIC スピリット」の「福島の真実」編(上)が、「放射能で鼻血が出た」「福島には住むな」といったショッキングな内容を含み、政府も否定のコメントを出す事態になっている。
「美味しんぼ」(作・雁屋哲+画・花咲アキラ)は31年間も連載している人気のグルメ・マンガで、単行本110巻、累計1憶3000万部を売り、映画やドラマにもなっている。
主人公・山岡士郎と父親が福島原発取材後に出血
「福島の真実」は作者が2011年11月~2012年11月の取材でが見た「福島県の食の現場の真実!」というシリーズの1話だ。主人公らが福島原発周辺に取材に入るという設定になっている。
きのう12日(2014年5月)発売号の「第23話」ではこんな発言があった。「福島に鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しく人が大勢いるのは被ばくしたからですよ」「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」
話しているのは双葉町の井戸川克隆・前町長で、実在の人物である。専門家が同席していて、「医学界に異論はありますが、放射線の影響は十分考えられます」とも話している。井戸川氏はさらに「だから町民に、福島県内には住むなといっているんです」という。
前回4月28日号「第22話」では、主人公の山岡士郎が突然鼻血を出す。医師は「福島の放射線と関連づける医学的知見がありません」というのだが、一緒に視察した山岡の父親も鼻血が出た。そして井戸川氏の「私も鼻血が出ます」という発言となる。井戸川氏はブログで、実際に鼻血が出たシーンを公開しているが、マンガの影響の方がはるかに大きい。