おととい5日(2014年5月)に送りつけられた犯行声明のビデオでは、迷彩服に自動小銃のひげ面の男が紙を読み上げている。男はナイジェリアの反政府イスラム武装集団「ボコ・ハラム」のリーダー、アブバカル・シェカウを名乗る。
「神の指示に従い、少女たちを売り飛ばす。イスラムを信じぬ者の血でこの地が埋め尽くされるまで…。イスラム教を信仰しない者は殺す、殺す、殺す。キリスト教徒との戦争だ」
まあ、これが21世紀の出来事か。
花嫁売買のブラックマーケット
4月14日、ナイジェリアの北東部ボルノ州の女子中学校を襲撃して、生徒200人以上を車で連れ去った。居合わせた教師によると、十数人が政府軍の兵士を名乗って訪れ、「救助に来た」と生徒たちを車に乗せたあと校舎に放火して去ったという。難を逃れた生徒は「はじめは兵士だと思った。車に乗れといわれたが、友だちと飛び降りて逃げた」と恐怖を語る。
衝撃を受けた欧米諸国は、アメリカ、イギリス政府が生徒救出の支援を申し出ているが、ナイジェリア政府はほとんど動いていない。拉致された生徒の保護者たちは5日、最大の都市ラゴスで数百人規模のデモを行って、政府の事件放置に抗議の声をあげた。
ナイジェリアはアフリカきっての産油国で、GDPではトップだが、富は少数の有力者の手に握られ、国民への適正な配分が行われていない。反政府勢力はこうした中で育ってきた。ボコ・ハラムは2000年代に結成された反政府組織で、「ボコ」は欧米的な教育のこと、「ハラム」はアラビア語で禁止の意味だ。イスラムの教えの通り、女子の教育はいけない、女は家庭にいればよいとする。今回拉致されたのはキリスト教徒とみられる。
AFPによると、彼女たちは、隣接するカメルーンやチャドのブラックマーケットで花嫁として売られているという。1人1200円。ボコ・ハラムは活動資金にしている。
今年2月には北東部で学校を襲撃して生徒59人を殺害した。先月14日に起った首都アブジャのバスターミナル爆破テロ(70人以上が死亡)への関与もいわれている。
ナイジェリア政府は放置したまま1か月!
現代イスラム研究センターの宮田律・理事長は「ボコ・ハラムは数千人。自爆テロもやり、イスラム圏でももっとも過激な闘争をやっているんです。宗教的な指導者はおらず、リーダーが自分でやっているのだろう」と解説する。
司会の加藤浩次「200人もがどうしてわからないのかと思ってしまいますが」
宮田「アフリカには武器や人身売買のブラックマーケットがあります。それと支援者は情報を流さない」
キャスターのテリー伊藤「ナイジェリア政府はなにもしていない。1200円で売られるというが、もっと高い身代金を払うことだってできるはずですよ」
宮田「それは可能でしょう。アメリカも支援しているし、リーダーには懸賞金もかけている。無人機の攻撃も考えられるが、救出は地上からでないとできません」
なんだかんだいっても、政府が動かないことには何も動かない。生徒たちが拉致されて1か月近くも何もしていないというのも、21世紀のこととは 思えない。すべてのもとは貧困と格差だ。それにアフリカへの関心も低い。