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安倍首相「3代続く在日人脈・金脈」地元山口と韓国にまたがる『王国』

   ライバル誌の『週刊ポスト』も負けてはいない。2本の安倍首相批判で気を吐いている。1本は岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三の3代にわたり、朝鮮半島、そして在日の人々と極めて密接な関わりを持ってきたという内容である。微妙な問題を取り上げた週刊ポストの意気込みを買う。

   安倍首相の地元である山口県・下関の街を歩くと、その縁の深さを示す手がかりが数多く見つかるという。<下関の地名は、在日韓国・朝鮮人にとって特別な響きを持っている。戦前戦中には関釜連絡船が年間200万人を運び、朝鮮半島から労働力として送り込まれた人々が、後に在日コミュニティーを築いたからだ。

   現在、下関に暮らす在日外国人のうち、韓国・朝鮮籍の人は約2900人。大多数が戦前に渡ってきた人とその子孫だ。下関市の全人口(約27万人)に占める在日の比率は1%で、全国平均(0.4%)の倍以上。日本国籍を習得した人とその家族を加えれば、下関の在日人口は万を超える>(週刊ポスト)

   在日が多いからどうだというわけではもちろんない。だが、韓国と岸、安倍首相の父親・晋太郎との結びつきが強かったことは間違いない。日韓国交正常化は来年で50周年を迎えるが、その一方で、岸が日韓国交正常化を踏み台に、地元山口と韓国にまたがる「王国」を作り上げたことはあまり語られないと週刊ポストは書く。

   国交回復を機に、岸はさらに韓国政界中枢との関係を深めていくが、その時、岸に韓国人脈をつないだキーマンの一人が町井久之氏だった。町井は本名を鄭建永。1923年、東京に生まれた鄭は、戦後、在日を中心に1500人の無頼漢たちを糾合し、暴力団「東声会」をつくり会長として名を馳せた。政界の黒幕・児玉誉士夫とは特に親しく、その政界人脈を足がかりに日韓国交正常化交渉の水面下で橋渡し役を果たしたという。

   岸が山口と韓国に築いた王国と人脈は、彼の秘書官を経て政界に打って出た晋太郎に受け継がれ、そのパイプをさらに太くしていった。<かつて晋太郎が住み、いまは晋三名義となっている敷地面積2000平方メートルの豪邸は、下関市街を見下ろす高台に建っている。

   この家のかつての持ち主の名は、吉本章治という。福岡市に本社を置くパチンコ店チェーン・七洋物産の創業者。彼は、日本に帰化した在日1世である。

   晋太郎は長らく、自宅と地元事務所を七洋物産の子会社から格安で賃借していたほか、福岡事務所をタダで借り、スタッフの提供まで受けていた>(週刊ポスト)

   受け継がれる人脈と金脈。下関の古株の在日から、こんなことを聞かされたという。<「晋太郎さんが林家(林家は下関の三大名家の一つで、林義郎元蔵相がいる=筆者注)に勝つため、岸さんが町井さんに晋太郎さんへの支援を要請したと聞いています。民団草創期の大幹部だった町井さんは、下関の仲間にいくらでも号令をかけることができましたから」>

   週刊ポストによれば、<晋三の下関にある地元事務所は、晋太郎時代のまま在日1世が創業したパチンコ店チェーンの子会社から借りている。また、晋太郎の助力で業績を伸ばした前出の在日の水産業者は、晋三の代になっても支援を続けている>

   週刊ポストはこう結んでいる。<ほかにも、北朝鮮や韓国に特殊な人脈を持つ在日は、晋三から遠くないところに少なからずいる。岸や晋太郎ならば存分に活用しただろう。

   今後、晋三が在日とどのように関わっていくのかわからない。

   しかしいずれにせよ、彼ら三代にわたる政治家が在日人脈を政治的な「資産」として運用し、自らのパワーに取り込んできたのは紛れもない事実なのだ>

   この通りなら、安倍首相はこうした強い在日人脈を使って悪化する一方の韓国関係の打開策を考えてみたらいいのではないか。安倍首相がおじいちゃんや父親が韓国と親しく付き合ってきたことをいわないのは、何らかの引け目があるからではないのか。週刊ポストは安倍の泣き所をうまくついている。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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