ユネスコの世界文化遺産登録が確実になった富岡製糸場(群馬県富岡市)は、きのう27日(2014年4月)に早くも入場者数4972人と過去最高となる人気だ。世界遺産登録は日本で14番目だが、昨年の富士山と違って、地味な歴史ものがたりの場だ。ゴールデンウイークもひと味違う賑わいになりそうだ。
これまで年間1億円かけて保存
「旧富岡製糸場」という看板がかかった石造りの門を入ると、正面にレンガ造りの2階建の建物がある。リポーターの西村綾子は「住宅街の一角にあるんです」という。目立たずひっそりとしたたたずまいは、言われないとわからない。
世界遺産効果は絶大だった。去年の1日平均が900人の見学者がいきなりが5倍以上になった。「軽井沢へ行く途中に寄った」という東京の女性たちは、「けさニュースでやっていたので」という。ニュースがなかったら、「来なかった」。群馬県の女性は「群馬にはいいところがないから」
登録対象は実は県内4か所にある。富岡製糸場は生糸から織物を織った工場で、ほかに近代養蚕農家建築の原型である「田島弥平旧宅」、蚕の卵の貯蔵所跡の「荒船風穴」、蚕の飼育法を教えた「高山社跡」がある。これら全体で技術教育をした女性たちをさらに全国に送って、輸出の柱であった生糸の質の向上と大量生産技術を普及させる役割があった。
製糸場は1872年(明治5年)の建設から142年になるが、1987年に操業を停止してからも、年間1億円をかけて保存を続け、05年から富岡市の所有になった。このため、明治時代の状態がほぼそのまま保存されている。これが世界遺産登録の決め手となった。