中東各国のスンニ派聖職者が資金集め
レバノンのトリポリで、シリアに戦闘員を送り込んでいるアルカイダのグループに接触した。入り組んだ建物には公然と黒いアルカイダの旗、銃を持った歩哨、監視カメラ…。世界中から1万人以上を集めたといわれる。司令官は「中東だけでなく、世界にまたがる巨大なイスラム国家を築くんだ」と主張した。グループは昨年、「イラクとシリアのイスラム国」を宣言して、シリア北部の広範な地域の統治を始めた。貧しい人には食料を与え、学校も作ってコーランを教えている。従わないものは弾圧・拘束する。
指導者はイラクで数々のテロをやって手配中のアブバクル・バグダディである。「イスラム国こそが世界を導く。公平・平等な社会だ」とネットで説く。活発な活動を支えているのは潤沢な資金だ。その供給源のひとつ、クエートのスンニ派の聖職者は3年間で12億円の寄付を集めたという。
米軍がイラクから撤退すれば、アルカイダの抑え込みはますますむずかしくなる。米軍の元テロ担当者は「アメリカ市民はいま直接の利害がない限り関心を示さない。アルカイダの脅威にさらされ続けるだろう」という。イラク人、シリア人がどれだけ死のうと、米国はもう動かない。アルカイダにはますます好都合だ。
池内准教授「アルカイダは9・11のあと壊滅したが、イデオロギーは残りました。共通の黒い旗を立てて、小規模の戦闘集団がテロをやり、ネットに載せるとアルカイダとして追認される形です。西欧が対決の意志を見せることが第一歩です」
やれやれ話は振り出しではないか。多国籍軍の兵士も含めて、死んだ者はますます浮かばれない。しかも、テロの脅威は高まっている。シリア処理に失敗したアメリカ、ロシア、中国の罪は大きいぞ。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2014年4月24日放送「復活するアルカイダ~テロへ向かう世界の若者たち~」)