ゲームに没頭―1週間に1時間も運動しない子ども急増
文科省が中学生の授業以外での1週間の運動時間を調べたところ、7時間以上運動する子どもと1時間未満の子どもの2極化が進んでいることがわかった。1時間未満の子ども詳しく見ると、ゲームなどに没頭してまったく運動しない子が80%近くにのぼっていた。これでは運動器の機能が十分に育まれないのも当然だろいう。
ところが、その一方で積極的に運動する子どもにも運動器の機能不全や障害があるケースが少なくないという。1週間に10時間以上サッカーに打ち込んでいる運動量の多い中学生は、ふくらはぎや太ももの筋肉が過度についてしまい柔軟性や運動機能のバランスが損なわれていた。ただ走ってボールを蹴るサッカーだけやっているのは良くないというわけだ。
日体大総合研究所の武藤芳照所長(整形外科医)はこう解説する。「子どもの異変の原因をひと言でいえば2極化です。運動習慣、生活習慣の2極化、それに伴って子どもの体も2極化してきています。運動不足もあれば、運動が多すぎて起こる機能障害の両面があります。子どもの成長にとって運動は必要ですし、大切であることは間違いないですが、少なければ効果はないし、多過ぎたり与え方を間違えれば副作用もあります」
国谷裕子キャスター「なぜこうしたことで子どもたちのケアをしなければならない時代になったのでしょうか」
武藤所長「生活環境の変化があります。外遊びが足りない。とくに多彩な運動が減っているんです。原因はそうした指導や訓練の場がなくなっていることですね。対策は多様性、異なる運動をすることです」
文科省ではこうした事態を重視し抜本的な対策に乗り出している。5月に改正される法令では、運動器の機能不全や障害を早めに見つけ、適切な治療につなげようと、学校の健康診断のあり方を見直すことにしているという。
電車に乗ると半数以上の乗客がスマホに没頭している。多くはゲームを楽しんでいるらしいが、子どものときからこのゲームに嵌っていては百害あって一利なしだ。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2014年4月23日放送「子どもの体に異変あり~広がる『ロコモティブシンドローム』予備軍~」)