子どもの体がおかしい!「ロコモ予備軍」しゃがめない、手首が曲がらない…

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!
「腕がまっすぐ上がらない」
「足の裏を床につけてしゃがめない」

   柔軟であるはずの子どもたちの運動器に異変が起きている。足腰が痛む、手すりにつかまらないと階段の上り下りができない高齢者に多いロコモティブシンドローム(運動器症候群)になるリスクが子供たちに広がっているというのだ。背景にスマホやゲーム遊び、塾など室内にいる時間が長く、外遊びなどの運動不足があげられているが、たとえばサッカー少年でも運動器に問題のある子どもが少なくない。

   専門家は「子どもはロコモの予備軍で、これからは小児の予防対策が重要になる」と警鐘を鳴らしている。

2人に1人が「運動器」に障害

   立つ、歩く、走るなど日常の動きを高齢になっても維持するには、子どものころから筋力や体の柔軟性を保つ必要がある。ところが、体が極端にかたい、運動器の発達のバランスが悪い子どもたちが少なくないことが、各地で行なった調査で分かってきた。

   島根大学が7000人の小中学生を対象に行った検査では、足の裏を床にしっかりつけて「しゃがみ込む」ことができない小学生35%、中学生36%、「前屈運動」で床に指がつかない小学生20%、中学生18%という結果が出た。埼玉県内で40年近く整形外科医をしている林承弘医師は、昨年(2013年)、体育の授業で13歳の男子中学生が、両手首が同時に骨折するというこれまでに見たことのないけがに遭遇した。跳び箱を飛んだときに、バランスを崩して頭から前のめりに落ち、手を着いた時に十分に手が反り返らずに骨折してしまったのだ。林医師は「普通なら避けられるはずで、両手骨折はありえないですよ。体の微妙な変化が子どもたちに起こっているようです」と危惧する。

   この男子生徒が通うさいたま市の中学校では、2年前から関節や筋肉などの運動器の機能チェックを行なっていた。足首や膝の動きを見る「しゃがみ込み」や体幹のかたさを調べる「前屈」、手首の動く範囲を見る「グーパー運動」など5項目だ。結果は「しゃがみ込み」ができない14%、「グーパー運動」で手首が十分反り返らない25%で、全体の52.8%に運動器が十分に機能していないことが分かった。

   宮崎大学医学部でも県内8000人の小中学生を対象に検査したところ、やはり23%の子どもに運動器の機能に問題があることが判明した。なぜ子どもたちの体に異変が起きているのか。検査を行なった宮崎大医学部の帖佐悦男教授によると、前屈ができないのは骨盤がかたくて前にかがめないため先に進めないからだという。しゃがみ込みができないのは足首の運動器がかたく、重心を前に持っていけないためにしゃがもうとすると後ろに転んでしまうのだという。

   帖佐教授は「日常生活のなかで子どもたちの動きのバリエーション、多様性が減っていることが影響しているのでしょう。小さいころからそういうことが起きていることは事実で、そうした子どもたちが30代、40代になるともっといろんな障害がでてくる」と警鐘を鳴らしている。

姉妹サイト