朴槿恵大統領「沈没視察パフォーマンス」日本の首相だったらどうしたか?遺族・家族の怒号渦巻く現場

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<「朴(槿恵=筆者注)大統領の周囲は反対したそうです。こうしたときは、国の指導者として、あらゆる情報を総合して、大局的に判断をしなければならない。しかしその反対を押し切った。
 現地でのパフォーマンスは怠りなく、家族らに情報を伝えられるよう大画面のテレビを体育館に持って来させたり、男性から電話番号を書いた紙を渡され、激励の電話をかけたりしていた。こんな細かいことを、国のトップがやっている場合ではないでしょう。
東日本大震災の際、当時の菅直人総理が福島第一原発上空を視察して、現場を混乱させた様子を彷彿とさせました」>

   これは『週刊文春』の「韓国沈没船300人を見殺しにした朴槿恵の大罪」の中のソウル特派員のコメントである。

   韓国南西部の珍島付近で乗客乗員462人を乗せた韓国旅客船セウォル号が沈没事故を起こしたのは4月16日だった。乗客の多くが修学旅行中の高校生で、現時点(2014年4月24日)でも、判明した死者は159人、安否不明者は142人もいる。海難事故としても最大級で、しかも事故から1週間以上経つというのに行方不明者の捜索はなかなか進んでいない。

   また、最後まで船に残り、乗客を助けなくてはいけない船長がいち早く「海難救助艇」に乗り込むなど、乗組員29人のうち7割に及ぶ20人が救出されたのに、高校生の救出者は78人(4月24日時点)でしかない。遺族や行方不明者の家族から船会社はもちろん政府への批判が高まるのも当然である。

   ソウル特派員はイ・ジュンソク船長(68)の行動をこう非難する。<「イ船長は船が傾き始めてから四十分後の午前九時半ごろ、すでに逃げ出しています。早い段階から、救助の指示をするわけでもなく、デッキで救助艇を待っていたという証言さえもあります。生存者名簿記入の際、身分を『一般市民』と名乗り、病院では海の水で濡れた紙幣をオンドル(床暖房)で乾かしてたそうです」>

   遺族ならずとも、これが事実なら八つ裂きにしてやりたいと思う。週刊文春によれば、<運行責任者として信じがたい行動を取ったイ船長に対し、韓国検察と海洋警察の合同捜査本部は、乗客の救助を尽くさず船を脱出したとして、最高が無期懲役となる「特定犯罪加重処罰法」を昨年七月の制定後初めて適用して、逮捕した>というが、当然のことであろう。

   安倍首相が事故後すぐに韓国側に哀悼の意を伝え、必要な支援を行う用意があると伝えたが、韓国海洋警察からは謝意があったものの、「特段の支援はいらない」と断りが入ったということを、週刊文春は批判している。日本の海上保安庁や海上自衛隊のスキルをもってすれば、もっと救助作業はスムーズにいったのではないかというのである。

   だが、韓国政府関係者がいっているとおり、事故発生直後、現場が混乱していて、指揮命令系統がバラバラで冷静な判断ができなかったというのも事実であろう。これだけの事故で、座礁後あっという間に船が沈んでしまったことを考えれば、日本から援助に行っても何ができただろうか。

   そこで気になるのはタイトルである。「300人を見殺しにした」のは朴槿恵大統領ではなくイ船長である。テレビで見る限り、朴大統領は泣き怒る遺族や行方不明者の家族たちの疑問や怒りに真摯に対応しているように見えた。冒頭のコメントにある、福島第一原発事故の時の菅直人首相の場当たり的な行動と一緒にするべきではないはずだ。事故の深刻さは同じかもしれないが、放射能事故と今回の事故とでは、一国のトップが果たすべき役割は違うはずだ。日本の政治家だったら、官邸に籠もり「遺憾の意を表する」というコメントを発表するだけで、朴大統領のように素早く現場に行き、怒号渦巻くなかに自ら入ることなどできはしなかったのではないか。

反韓・嫌韓記事 リベラル「団塊世代」まで愛読しはじめた危うい兆候

   話は少し変わるが、先日、「東京新聞」から取材の電話がかかってきた。いつものように週刊誌で反韓・嫌韓記事が目立っているが、それについてのコメントをくれというのである。私は概ねこんなことを話した。

   週刊文春や週刊新潮のような保守系雑誌にそうした特集が掲載されるのは、読者がいて売れるからで、必ずしも編集部自身がそう考えているわけではないのではないか。だが、心配なのは、これまでは、こうした『空気』を支えていたのが比較的若い層だったが、最近はそうではなくなってきていることである。週刊誌の読者の多くは団塊世代である。彼らは戦後の民主主義教育を受け、本質的にリベラルであったはずだが、その高齢者たちまでが、そうした記事を受け入れているのは、背景に安倍政権のタカ派路線があるにしても、危うい兆候ではないかと思う。

   行き過ぎだと思うのは本のタイトルも然りである。「呆韓論」「悪韓論」「『妄想大国』韓国を嗤(わら)う」「日本人が知っておくべき 嘘つき韓国の正体」「韓国人による恥韓論」…。祥伝社が出した「どの面下げての韓国人」では、朝日新聞に出稿した広告表現に対して、弁護士の神原元氏が「ヘイトスピーチ」に当たるとして朝日新聞に内容証明郵便を送付したそうだ。

   韓国、中国から『先進国』だと思われている日本の出版界が、売れるからという理由だけでヘイトスピーチのような本や雑誌を山のように出版しているというのは恥ずかしいことである。

   韓国の新聞は今回の沈没事故を批判し、4月21日付の『中央日報』は韓国は「『先進国』の名刺をしばらく引っ込めよう」という記事を載せ、日本政府が「内閣危機管理監」の下で自然災害や海難事故に迅速に対応していることを紹介し、自国のことをこう書いているという。

<いくら経済規模が大きくなったといっても、国民の命が保障されない社会を誰が自信を持って先進国だと言えるだろうか>

   この言葉はいまの日本にもそのまま当てはまる。そうであれば、『週刊新潮』のように「日本人には少し違和感『韓国フェリー沈没』の悲劇」ぐらいが適当なタイトルだと思う。

高いものにつきそうなオバマ国賓招待・寿司接待―土産に持たせた「牛肉で大幅譲歩」

   さて、オバマ大統領が昨夜23日(2014年4月)に来日した。空港からそのまま銀座の寿司の名店「すきやばし次郎」に駆けつけ、安倍首相と寿司をつまみながら懇談した。次郎で食べたいと言ったのはオバマのほうらしいが、銀座の数寄屋橋交差点近くのビルの地下にある店だから、警備の大変さはテレビのニュースを見ていても伝わってきた。

   次郎の主人に官邸に来てもらって、そこで握ってもらうということも日本側は打診したらしいが、オバマがその店で食べたいといい張ったそうだ。迷惑な話である。日本の首相がアメリカへ行って、オバマとニューヨークの5番街の店で一緒に食事をしようといったら、一言のもとにはねつけられるだろう。だが、安倍首相にはオバマの「無理難題」を聞かざるを得ない弱味があるのだろう。

   オバマは泊まるのも迎賓館ではなく都内のホテルに宿を取ったという。この警備も大変であろう。週刊新潮は「『オバマ大統領』国賓来日の代償」という特集を組んでいる。記事によれば、<内外に特別な仲をアピールしたい安倍総理は、何とか「2泊3日の国賓扱い」を受け入れてもらったが、その代償はあまりにも大きい。最たるものが、共同声明でTPP交渉の進展を宣言すべく、『いけにえ』にされた、牛肉関税だ>という。

   全国紙の政治部デスクが舞台裏をこう話す。<「なかでも、牛肉は現行の38.5%から9%台にまで大幅に引き下げることで大筋合意を得た模様です。日豪の経済連携協定ではおよそ20%で合意し、安倍総理はアメリカともこの水準で折り合えると踏んでいた。しかし、相手が強硬にゼロ主張を続け、協議は平行線を辿りました。安倍総理にすれば、国賓として来てくれるオバマ大統領に『TPP交渉で大幅前進』というお土産を持たせたかった。日米首脳会談のデッドラインが近づく中、やむなくヒトケタ台まで譲歩し、内々に話をつけたのです」>

   そうだとすると日本の畜産業には大打撃になるという。アメリカと韓国はFTA(自由貿易協定)を締結した。そこで<「2012年、40%だった米国産牛肉の関税を15年かけ、ゼロにすることになっています。韓国ではすでに関税が8%下がりましたが、この間、それだけで畜産農家への影響が出ている」>と農業業界紙の記者が語っている。

   韓国には約12万戸の肉牛畜産農家があったが、安いアメリカ産に押され1万5000戸が廃業申請を余儀なくされたという。仮にこの比率を、関税9%となる日本に当てはめると、約6万戸の和牛農家が半数近くに激減することになるそうだ。いや、もっとひどいことになるというのは「食政策センター ビジョン21」代表の安田節子さん。<「今後、10~20年で和牛農家の大半が廃業し、最悪、ゼロになってしまう可能性もある」>

   国賓待遇で来ていただいた代償は高いものに付きそうである。

オバマのお返しは「尖閣諸島へ日米安保条約適用」…いまさら分かりきってる『言質』に喜ぶな

   これほどまでに気を遣っている安倍首相はじめとする自民党の面々だが、オバマ来日に泥水をかけるようなこともやっているのが解せない。<新藤義孝総務相は22日、春季例大祭が行われている東京・九段北の靖国神社に参拝した。衛藤晟一首相補佐官も参拝し、超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(会長=尾辻秀久元厚生労働相)に所属する衆参の計約150議員も参拝した。

   安倍政権では、西川京子文部科学副大臣、高木毅国土交通副大臣、井上信治環境副大臣、藤川政人総務政務官、高鳥修一厚生労働政務官が参拝。自民党の高市早苗政調会長や、民主党の羽田雄一郎参院幹事長、日本維新の会の平沼赳夫国会議員団代表らが参拝した。

   春季例大祭は23日まで。安倍晋三首相は期間中の参拝を見送り、21日に神前に捧げる供え物「真榊(まさかき)」を奉納した>(4月22日『asahi.com』)

   今回の大統領訪日に際してミシェル夫人が同伴しなかったのは、多くの日本人に失望を与えた。学校に通う2人の娘たちと一緒に過ごすためというのが訪日を断った理由だそうだが、ミシェル夫人は3月20日から25日まで娘たちを連れて中国を訪問しているのだ。随分差をつけられたものである。しかも、異例となる「夫人への贈り物」もオバマに託すそうである。それまでして安倍首相がオバマ大統領から欲しかった「言質」は、尖閣諸島に何かあればアメリカが防衛するというものである。

   週刊新潮は大統領が首を縦に振らなかったと書いているが、24日付の朝日新聞によれば、<日米は、尖閣諸島への日米安全保障条約の適用を明記する共同文書を発表する方向>だという。

   TPPの大幅譲歩、銀座名店の寿司、夫人への付け届けで得られたものが、これだけかと思うのは私だけだろうか。オバマのしてやったりとほくそ笑んでいる顔が見えるようだ。

株価低迷の元凶「日経新聞のアベノミクス提灯記事」好景気と書いた途端に株価下落

   安倍首相が集団的自衛権容認ばかりに気を取られているうちに、アベノミクスに陰りが出てきていると『週刊ポスト』が「『日経が好景気と書くと株価が下落する』のは市場のプロの常識です」で報じている。

   新聞は消費税増税の影響はそれほどないとか、景気はこれからよくなると書いているが、庶民の実感ではそんなはずはないと思わざるを得ない。週刊ポストはそんな空気を読んで、政権の『提灯持ち』日本経済新聞批判をしている。すなわち、日経が好景気と書くと株価が下落するというのである。

   週刊ポストによれば、消費増税による買い控えで不況風が吹きはじめた4月11日、日本経済新聞朝刊1面トップにこんな見出しを掲げて、明るい景気見通しを報じた。「小売業7割が増収増益(今期予想) 増税の影響、下期回復」。日経の集計によると、スーパーや百貨店など主要小売業の7割が1年後の業績を増収増益と予想しており、増税不況は夏以降急回復するという内容だった。

<ところが、株価の動きは逆だった。日経平均株価は始値の1万4027円から終値1万3960円へと67円下落し、1万4000円の壁を割り込んだのだ>(週刊ポスト)

   この報道と現実のギャップに誰より慌てたのが安倍首相当人だった。総理は株価急落が止まらないことに、「いったいどうなっているんだ」と非常に神経質になり、急遽、日銀の黒田総裁との会談をセットして説明してもらうことになったと官邸筋が語っている。まさに日経は『赤っ恥』をかいたのである。

   もともと投資のプロは日経新聞の内容を相手にしないといい切るのはゴールドマン・サックス証券やモルガン・スタンレー証券など外資系証券会社で日本株アナリストを経験してきた島義夫玉川大学経営学部教授である。

<「プロは必ず日経を読んでいますが、それは世間の『平均的な見方』を確認するためです。株など金融商品を扱う場合、先行きを見るための先行指標、今の状況を確認する一致指標、過去の状況を分析する遅行指標がある。新聞に書いてあることは昨日までの遅行指標であって、プロにはそれを取引の先行指標に使うような馬鹿はいない。日経の記事は市場関係者や専門家を取材して書いています。その手の情報はポジショントークといって、自分が扱っている銘柄が有利になるようにメッセージを出す意図が込められている。市場関係者はそのことを百も承知だから、記事を参考にはしないわけです」>

   週刊ポストは日経の記事が金融のプロから信用されていない原因が『経済音痴』にあるのなら、メディアのクオリティーを問われることはあっても、罪までは問えないが、日経の責任が重いのは、安倍政権や霞ヶ関、財界の意を汲んで「景気は回復」「給料アップ」「株価も上がる」と大本営発表を流し、結果的に国民の目からアベノミクスの失敗を誤魔化してきたことであると追及する。

ハゲタカ外資「セル・イン・メイ」―5月中に日本株は売れ

   さらに週刊ポストによれば、<日銀の黒田総裁を官邸に呼んで追加の金融緩和を迫り、さらにこれ以上の株価急落を防ぐために国民の老後資金である年金資金で株を買う計画を進めている。そしてその先に狙っているのは、高齢者のカネだ。安倍政権は今年1月から年間100万円までの株取引の利益を非課税にする「少額投資非課税制度」(NISA)を導入し、素人投資家を株式市場に呼び込む策を練ってきた。年金カットで収入が減る高齢者がそれに飛びつき、銀行や証券会社に新たに株取引の口座を開設する個人投資家は高齢者を中心に年内に500万人に達する勢いで、「最大で5兆円の新規資金が株式市場に流入する可能性がある」(1月8日付)と見込まれている>そうである。

   島氏はこう警告する。<「現実の日本経済は株価も為替も景気も非常に不安定な綱渡りの状況です。だからこそ、日経は霞ヶ関の意を汲んで、国民に景気が回復して株価が上がると思わせるように書いている」>

   週刊ポストは<日本のウォールストリートジャーナルを自負する日経新聞は、「プロだけが売り抜け、素人投資家は貧乏くじ」というアベノミクスの水先案内人なのであり、そうした『役割』を見抜いていないと、国民は痛い目に遭わされる>と警鐘を鳴らす。

   『AERA』でもアベノミクスを外資は見限ったと報じている。<海外ファンドは昨年末、「追加緩和が消費税前にある」と見て日本株を買い上げた。国内のエコノミストの誰もが「あり得ない」と否定したが、耳を貸さなかった。4月8日、日本銀行の黒田東彦総裁が「景気は順調に回復。追加緩和は必要ない」と言い切ったとき、「ハゲタカ外資」は追加融資がしばしの夢だったことを悟り、長期投資組は日本からの撤退を決めた。

   相場の行方を大手証券のエコノミストは「『セル・イン・メイ(5月に売れ)』はやってくる」と話す。4月30日の金融政策決定会合までは株を買い、大型連休後に売る。撤退を決めた彼らは換金売りをする腹づもりだ。「日経平均株価は1万3500円を下回るかもしれない」>

   消費税増税で予想されていたことではあるが、アベノミクスの終焉が見えてきたようである。

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