金持ちだけで「市」独立!高額税金ムダ使いもうゴメン―米ジョージア州

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   リーマン・ショック以降、アメリカ合衆国でも「1%の富裕層」への風当たりは強まり、オバマ大統領も「格差」の問題をたびたび口にしている。しかし、富裕層にも言い分はある。自分は才能と努力のおかげで成功したのに、罰のように高い税金を支払わされ、つまりは政府と無能な怠け者にカネを盗まれてはたまったもんじゃないというのだ。そこで、彼らは国籍やら何やらを税金の安い外国に移したり、あの手この手で税金を逃れようとする。

公務員は警察と消防だけ。裁判官も臨時雇い

   「クローズアップ現代」によれば、いまアメリカで富裕層が続々と「独立」してるそうだ。これは税金を安くし有効に使うためにオススメな完全に合法的な手口である。アメリカは基本的な行政区分として州の下に「郡」があるが、これとは別に「市」制度もある。ジョージア州のサンディ・スプリングス市はかつてフルトン郡に属した地域だが、住民投票を経て市として独立し、財政的に大きな権限を得た。ここはもともと富裕層(資産100万ドル以上)の多く住む地域であった。

   現在、人口約10万人のサンディ・スプリングス市は理想的な「小さな政府」を実現した。公務員は警察と消防だけにして、残りは民間委託。市の職員はたった9人、裁判官も必要なときだけ時給100ドルで雇うといった具合で、徹底的にコストカットした。代わりに警察、消防のセキュリティ面に力を入れた。これが住民に好評で、全米から富裕層が移り住むなど大成功スパイラルをおさめたという。

米国内で「富裕層独立」次々…

   一方、残りのフルトン郡は悲惨だ。税収が40億円も減り、公共サービスは大打撃を受けた。図書館は開館時間短縮、ゴミの収集業務は減り、公園、公立病院の予算も削減といった具合である。

   しかし、サンディ・スプリングス市の手口に学んで、ジョージア州で5つの市が誕生し、フロリダ、テキサス、カリフォルニアでも「独立」が30以上予定されているという。結局のところ、これは富裕層を優遇しないと、彼らの反乱によって貧困層も報いを受けるという教訓なのかもしれない。今後、自由と競争、アベノミクスを推進力として少子高齢化などモノともせずに大成長していく予定の日本も、この寓話から大いに学ばなければいけないだろう。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2014年4月22日放送「『独立』する富裕層~アメリカ 深まる社会の分断~」)

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