セウォル号の行方不明者の捜索は依然難航している。韓国海軍特殊部隊による船内捜索のVTRには、2人1組の潜水士がハンマーで窓をたたき割ろうとするが割れず、「これ以上は危ない」と海面に浮上する様子が写っている。
井上貴博アナ「潜水士が背負っているタンクは、最大でも40分程度です。船にたどり着くまでに15分前後かかり、捜索作業に使える時間は10分程度です」
そんななか、韓国の海洋水産省はきのう22日(2014年4月)、AIS(船舶自動識別装置)の記録を元に、セウォル号の沈没直前の詳しい航路を公表した。
乗組員「バランスを取るためのバラストタンクに水が入っていなかった」
公表されたAIS記録によると、セウォル号は南下中に急に右に曲がり、弧を描くように航行して、そのまま横向きのまま北に押し流されている。東海大学海洋学部・山田吉彦教授は「船が現場に近づく前から、積載貨物の荷崩れがあり、左側に傾いていたと思われます。そのためゆっくりと弧を描き、立て直しを試みていたのではないでしょうか。ただ、左側に傾いたとき右の舵を切るのは危険です」と解説する。
井上「ますます傾きが大きくなりますよね」
山田教授「経験豊かな操舵手なら左に舵を切って、その間に船の立て直しを試みます」
乗組員の一人は「あの時、船のバランスを保つためのバラストタンクに水はほとんど入っていなかった。そのため船のバランスが取れない状態だった」と証言している。元航海士は「あの船には構造的な欠陥があった。それで、乗ることを辞退していた。どうしても乗れと命じられたら、1度は乗るが、すぐに下りると決めていた」と告白する。セウォル号の沈没事故は人災の疑いが強まっている。