韓国の旅客船セウォル号の転覆・沈没事故は、過積載のコンテナや車が急転回で荷崩れを起こしたのが原因と見られているが、なぜ急転回したのかは依然として謎だ。近田雄一キャスターは「傾いた船の映像を見る限り、船首甲板に積載されていたコンテナが倒壊しています」と伝える。
乗船のトラックドライバー「3秒くらいで船は右回転して立っていられなかった」
乗船していたトラックドライバーのユ・ギョンジンさんはその時の様子をこう語った。「3階の船室にいました。外のデッキに出てタバコを吸っていると、3秒ぐらいで船は右に急転回し、立っていられず転んでしまいました。デッキの柵に捕まろうとしたが、手が届きませんでした。この船は何度も利用しているが、何かいつもと違う。そう思って急いで船室に戻り、身支度をして非常口のところで待機しました」
イ・ギョンボさんもドライバーだ。「食堂にいたが、突然、船が傾きテーブルがひっくり返りました。食堂にあるいろいろなものが飛んできた」と恐怖を語る。
客室4階にいた女子高生はこう話す。「最初に船が傾いたとき、あれっと思ってふざけていたんです。そのあと傾きが大きくなったけど、大したことがないのでその場を動かぬようにというアナウンスが流れました。でも、次の瞬間に大量の水が船室に流れ込んできて、私はおかしいと思って外に出ましたが、クラスメイトは避難指示がなかったので荷物棚につかまるなど船室にとどまっていました」
航海士の指示受け操舵手が操船
なぜ急転回したのか。海上技術安全研究所の田村兼吉・海難事故解析センター長)はこう解説する。「いくつかの理由が考えられます。舵に何らかのトラブルが発生した、操船ミスのヒューマンエラーがありますが、船の復原力が弱かったのかもしれません」
近田「操船ミスとなると、操舵手の誤りですか」
田村センター長「操舵手には航海士が必ず指示を出します。その指示が間違っていたり、航海士の指示とは違った舵を切るという場合があります。これは韓国で起きた事故ですから韓国当局が事故原因の調査・解明をするでしょうが、その内容は世界中に回覧板のように知らされます。それを各国は分析して、自国の海運安全に役立てるわけですが、韓国が今回の事故について原因をどこまで解明できるかが注目されます」
ナオジン
*NHKクローズアップ現代(2014年4月21日放送「緊急報告 韓国船 沈没事故」)