ウソのように明るく積極的になった営業マン
愛知・瀬戸市のセラミック製造「ヤマキ電器」も消極的な社員の意欲の改善にと、講師を招いてレジリエンスの研修をしていた。「逆境グラフ」というのを作る。過去の心の落ち込みをグラフに書かせ、底のときに何があったか、どう立ち直ったかを考える。
営業マンの伊藤正人さんはもともと技術者で、営業成績が上がらず、「むいていないんじゃないか」と悩んでいた。グラフを作ってみると、妻の入院と父親の死が重なったときがどん底だった。講師は「どう回復したかを思い出して」「この逆境に較べれば今の苦境なんか」と語りかける。家族の支えを再認識して立ち直った。
先日、参加した展示会で伊藤さんは30を越す企業にアプローチした。それまで飛び込み営業に後ずさりする方だったのがウソのようだ。「小さな一歩を踏み出しかかな」という。表情も明るく変わっていた。
日米の例を見ていて、「ホントかよ」といいたくなる。大野氏は逆境にある人にどうアドバイスできるかを考えることもレジリエンスには有効だという。声をかけ合うことで、両方がプラスになる。愚痴をこぼす、困ったことを話す、笑う…。いまはウエブという方法もあると提案する。
レジリエンスなんて昔なら「余計なお世話」の類いだったろう。それだけ人間が弱くなったのか。悩む人が多すぎるのか。現代社会はつくづく手間がかかる。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2014年4月17日放送「『折れない心』の育て方~「レジリエンス」を知っていますか?~」)