週刊朝日・編集者「ついに俺も認知症か!」物忘れ外来体験ルポ…これが結構コワ~イよ

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   年が年だからタイトルを見て「ボケ」とか「長生き」とかがあるとついつい開いて読んでしまう。『週刊朝日』の「ボケてたまるか!」は編集部員がボケと闘う体験ルポである。筆者名を見たら私のよく知っている編集者である。失礼だが、もっと私に近いと思っていたが、いま62歳だという。そんなに若かったの?

   まあ、銀座で飲んでいたときはお互い若かったからな。その知り合い編集者氏が、最近もの忘れがひどくなってきたという。書類の置き所を忘れる、俳優の名前を忘れる、取材の約束をダブルブッキングしてしまうてん。こりゃ認知症が進んでいるに違いないと、東京医科歯科大学病院の「もの忘れ外来」に行ったというところから始まる。

   自慢じゃないが、私なんかもっとひどいぞ。かかってきた電話を切ったとたん誰からだったか忘れている。眼鏡をかけたまま目薬を差してしまう。トイレに入って汚れないように置いておいた書類を忘れて出てきてしまう。書き出せばきりがない。

   もの忘れ自慢をしても仕方ないが、少し前にある医者と対談したとき、「もの忘れと認知症は別もの」で、あなたのは今のところもの忘れの範囲だから心配しなくていいといわれて安心したことがある。

   けさ18日(2014年4月)のワイドショーを見ていたら、認知症になった夫が8日も帰ってこないので心配して探していたら、近くの公園のベンチで横たわっている餓死寸前の夫を発見したというケースを紹介していた。ああなったら怖いな~。

   編集者氏は外来に行き、脳ドックは2回受けたが異常はなかったことなどを話し、医師から「認知症ではない」と思われるが、簡単なテストをしましょうといわれる。右手でグー・チョキ・パーを次々に出し、左手はそれに勝つものを出すというもの。右がグーならば左手は、ええと~パーだな。少しずつ早くしていくというが、これってなかなか難しいよ。

   続いて隣の部屋で助手に「簡単」な検査をやらされるのだが、これも難しい。300字ぐらいの文章を読むので記憶してくれといわれる。5分後に同じ文章をいわされるのである。図柄の検査では、複雑な旗や円が重ねられた図形を5秒見せられた後、白紙にその図形を書くというのだ。40分ぐらいたってからさっきの文章をもう1度いわされる。

   終わるまで2時間。その後、MRI検査の病院を紹介される。その紹介状にあった医師の「言葉」を見てしまうのだが、それが怖~いのだ。こんなテストをされたら誰だって認知症の疑いありとなるのではないか。私だったら絶対行かない。そう固く決心したのである。

自分で食べられなくなったら人間終わり…年取ったらなにより歯の手入れ

   『週刊ポスト』には「噛める人はなぜ死ぬまで健康で長生きできるのか?」という総力特集がある。私も歯医者に行くと、年を取った人ほど歯の手入れをしたほうがいいといわれる。歯槽膿漏などで歯茎がゆるくなりものがよく噛めないと、いろいろな問題が起きることは間違いない。

   食べるといえば、年寄りが誤嚥をたびたびして困るというので、病院に入れると胃瘻(腹壁を切開して胃内に管を通し、食物や水分や医薬品を流入させ投与するための処置)の手術をしてしまうことが多いが、私の父親の経験からいってもあれはよしたほうがいい。

   私の父もボケては来ていたが家で3度3度食べていた。誤嚥で何度もむせたり肺炎にかかるので、医者に相談して入院させた。そのうち医者から胃瘻にしませんかという相談を受け、家に戻ってからも自分で食事をさせたいからダメだと断っていたが、誤嚥がひどくなっていくのを見てとうとう承諾してしまった。

   だが、自分で食べることができなくなった父は日に日に弱って、やがて寝たきりになってしまった。それから半年ぐらいで亡くなってしまった。自分で食べるという人間の根源的な欲求を否定されると、人間は生きている意欲まで失ってしまうのだろう。週刊ポストでも<咬合・咀嚼の刺激が脳に伝わり、記憶・運動能力が劇的に回復する>としているが、噛むという行為がいかに大切か、年を取ったら歯のメンテナンスがいかに大事か、この特集は教えてくれている。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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