横浜港の本牧ふ頭で11日(2014年4月)、台湾に向けて船積みされる予定のコンテナから国の基準をはるかに超える毎時10マイクロシーベルトの放射線量が検出された。現在もふ頭に置かれたままになっている。
放射線を検知したのは、横浜港を管理する横浜市が福島原発事故後に設置した放射線検知装置だ。コンテナが通過した際に異常を知らせた。原発事故後、海外からも放射性物質の流出の懸念が持たれ、外国向けのコンテナすべてについて放射線の測定を実施している。
11日に検知した数値は毎時5マイクロシーベルトで、外国の関係機関への通報が義務付けられている毎時5マイクロシーベルトの基準を達していた。これが13日の測定では毎時10マイクロシーベルトと2倍に上がっていた。
荷主の日本郵便びっくり!1個1個差出人に連絡…さて、中身は何か?
高濃度の放射線量を出すコンテナの中身は何なのか。荷主は日本郵便で、受取人が台湾の住所になっている250個の小包だ。日本郵便は「差出人や小包の中身はまったく把握できていない」という。港湾を管理する横浜市は一刻も早く荷主に引き取ってもらい、放射線の原因を特定してもらう必要があるとしている。といって、経験のない異常事態に日本郵便も困惑している。
14日に日本郵便を取材したコメンテーターの岩上安身(ジャーナリスト)によると、「日本郵便は開封の同意を得るために、小包の差出人に1件1件連絡を取っている最中」という。差出人から開封の了解を得た後も煩雑で、コンテナの中にある250個の小包のどれに放射性物質が入っているのか特定する作業が待っている。
岩上はこの騒ぎで新たな問題も浮上したという。当初、日本郵便から相談を受けた原子力規制庁は2人の職員を埠頭に派遣し、コンテナの管理状態について人が近づけないなど安全を確認した。しかし、原子力事業者を監督する規制庁が関与したのはここまで。こうしたケースを監督・指導する役所は現在ないという。