ニューヨークの伝統ある雑誌「LIFE」の写真管理部で働くウォルター・ミティ(ベン・スティラー)は人づきあいが苦手で、思いを寄せる女性と話もできず、突飛な空想に浸ることで虚しい現実を紛らわせていた。
そんなある日、デジタル化の波に抗えない「LIFE」は経営が行き詰まり、廃刊が決まる。最終号の表紙を飾るのは、冒険家としても著名なカメラマン・ショーン(ショーン・ペン)の写真だったが、ショーンから届いたネガの束の中に肝心の表紙用のものが見当たらない。ウォルターはショーンを探すため、ニューヨークから北極圏のグリーンランドへ向かう。そこには空想の世界をはるかに超えた壮大なスケールの自然が待っていた。
67年前のダニー・ケイ「虹を掴む男」リメイク
平凡でパッとしない主人公が旅を通して劇的な変化を遂げ、未来に希望を見出していく、いわゆる「自分探し系ロードムービー」です。1947年公開のダニー・ケイ主演映画「虹を掴む男」のリメイクであるらしいが、実在したフォトグラフ誌『LIFE』の発行元であるタイム社が舞台になっているのが面白い。ただ、自分探しをテーマにしながら、肝心の人物描写に深みがないのが残念!
若いころに抱いていた夢を諦め、気づいたら中年なのに、恋愛はうまくいかず、仕事もリストラ寸前というウォルターのダメ要素に思わず共感を覚える。そんなウォルターが旅に出た途端、困難に立ち向かい、わりとあっさり乗り越えてしまうのはどう納得すればいいのか。「なんだかんだいって、ウォルターはもともとデキるヤツだったのね」と突き放されたような印象でした。
ウォルターの頭の中で炸裂する奇想天外な空想のビジュアル化、大自然の迫力ある映像で大いに楽しめるが、そんなわけで、テレビCMや映画館で予告編を見た時点で、もう半分以上は見終わっているといってもいい。余計な期待を捨てて見ることにした終盤、旅の終わりにウォルターが見つけた表紙用ネガに写りこんだ被写体には、ちょっとホロッとさせられたかな。
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おススメ度:☆☆