防衛省が頭悩ます「どうしたら流出防げるか」
防衛省も優れた民間技術の活用に動き出した。昨年、民間企業の技術を対象に調べた「わが国の共同開発/研究要領の現状と問題点」と題する300ページに及ぶ内部資料がある。ロボットやセンサーなど最先端の技術を防衛装備に活用しようという狙いで作成されたが、これを受けた形で防衛省内に「技術管理班」が新設された。
防衛装備に転用可能な民間の技術を把握する一方、他国に転用される恐れのある技術について輸出審査を慎重にするように関係機関に働きかける役割も担っている。日本の優れた技術が海外で知らぬ間に軍事に転用されるのを防ぎなら、同時に日本の先端技術を防衛装備に活用し、輸出にも役立てようという狙いなのだが、実効ある体制ができるのかどうか。
安全保障に詳しい一橋大学の秋山信将教授はこう解説する。「他国からの激しいキャッチアップのなかで、限定的ではあるけど、調達コストが安くつくことが防衛省に求められています。でき上がった装備品を海外の市場に広げれば単価を安くできることも目的として挙げられているのではないでしょうか」
国谷裕子キャスター「民間技術が他国の軍事に転用されるのをどう防ぐか。管理強化で実効ある流出防止は可能でしょうか」
秋山教授「100%防ぐのは不可能です。ある技術を出すか出さないかについて、最終的には技術の評価とともに政治的な判断が必要になります。経産省や国家安全保障会議、あるいは政府が技術移転することへの説明責任が問われると思います」
安倍内閣はこれまでの武器輸出原則禁止に代わる新たな「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。日本の技術がテロに使われたり、紛争を助長する武器として使われるのをどう防ぐのか。運用面の課題が指摘されている。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2014年4月9日放送「日本の技術はどこへ~拡がる『軍事』転用~」)