シネコン担当者「新基準にすると館外に音が漏れるんです」
天井が問題なら、天井をなくせばいいじゃないと思う向きもあるかもしれない。実際、文科省は学校体育館などの天井の撤去を進めているという。ただ、天井問題に詳しい川口健一・東京大学生産技術研究所教授は、天井には見栄えを良くするほかに、断熱、音響(防音)、照明を効果的にするなどの機能があり、天井をなくせば「空間のクオリティー」も失われるとし、「やわらかくて軽い素材を開発し、快適で安全でウツクしい空間をつくる」ことが重要だと言う。
この新基準で困ってるのが映画館業界だそうだ。厚い天井板で館を密閉することで音漏れを防いできたが、新基準では(揺れを逃がすためか)壁と天井の間に隙間をつくらなければいけなくなった。シネコンの建設担当者は「映画界にとって、ある意味、ショッキングだ」と頭を抱える。この担当者は新基準と防音の両立を模索していくというが、今後、多スクリーンを擁するシネコンやウルサい映画館建設の立地などに影響が出てくるのかもしれない。
ボンド柳生
*NHKクローズアップ現代(2014年4月8日放送「まさかの天井落下をどう防ぐ」)