なんとかゴミ屋敷から脱出して新居へ。でも、まだダンボールの山に囲まれている。ダンボールをなんとか整理できるのはきっとゴールデンウィークだろう。ムダな買い物はやめてモノが少ないスッキリした生活を送るって誓ったくせに、すでに破られた。
引っ越し直後に増税前に買っておいたほうがいいだろうともくろんで日用品を買いだめしたのだ。トイレットペーパー、ラップ類、洗剤類、オリーブオイルにコーヒー、その他にもあれやこれやとスーパーやドラッグストアに走った。洋服やバッグ、アクセサリー関連に走らなかったのが救い。こまごまとしたものを買い、結果としてダンボールの山にお仲間を増やしてしまった。
世界的に活躍するある建築家の言葉
この状況にがっくり肩を落とした時、心を支えてくれるかのような言葉と出逢った。
「人間、たった一言で人生が変わったりはしない」
ズッシ~ン!これ、痛く胸に突き刺さる。吟味して審美眼を育てて物を買うんだとエラソーなこと思って実現できていない己に言いわけできる要素が増えた。けれど、それだけじゃない。
この発言の主は世界的に活躍するある建築家である。雑誌の一問一答形式で紹介しているページで見つけた。一問一答企画はアクターズスタジオの10の質問は秀逸だが、それを超えるような一問一答形式ってありそうでなかなかない。あれは本当によくできている。「昔好きだったイタズラは?」「天国に行ったら神様に何と言って迎えてもらいたい?」たったワンセンテンスとその答え方で、質問された人の人生観や自分をどのように見ているかがわかる。
一問一答形式の番組アンケート
そんな質問形式に憧れて、一問一答形式の番組アンケートを出演者の皆さまに送りつけてしまうことが多い。たとえば、「座右の銘はなんですか?」「影響を受けた人物、本や映画は何ですか?」という質問は制作陣がよくやる。目的は座右の銘や影響を受けたものを知れば、その人の仕事ぶりや、大袈裟にいえば生き方、ポリシーがわかるだろうということだ。
でもねぇ、座右の銘と彼らの生き方が一致しているとは限らないことがしばしば。影響を受けたものをあげたところで、人となりを分かろうとしても、所詮ムリがある。だから、「たった一言で人生は変わらない」というような答えが出されると、制作側は何も言えなくなる。
逆に、こういう言い方で返してきたかと、相手の性格をうかがい知ることはできるけれど、そこから生産的な話を作り上げていくのは難しい。制作陣の演出意図になんとか相手の意見を合致させようとしてしまうからだ。その結果、自分の意見がそんな使われ方をするとは思わなかったと、出演者との間に溝ができる。
相手の言葉から思いをくみ取り、制作が求めているものとどう折り合いをつけていくか、番組的に必要としている言葉を相手から求めるならば、相手の元へと通い心を開いてもらうのが本筋だ。もしかしたら自分達は大きな間違いをしでかしていることに気がつくためにも。
自分への戒めも込めて、ズシリと響いた言葉。あれっ、結果としてこの言葉を知ることができてよかったんじゃない?。間違いなくきっと回答者が優れているのであって、安心してはいけないのだけれど、まんまと影響されてしまった。
モジョっこ