袴田巌さん48年間獄に押し込めたでっち上げ「刑事・検事・裁判官」の実名
さて、週刊新潮、週刊文春に続いて『週刊現代』が55周年記念号をいつもの月曜日ではなく火曜日に発売した。消費税値上げの日に合わせたのだろう「特別定価430円」。これまでが420円だから10円値上げということになる。
記念号だけあってページ数も多く、松井秀喜に「55周年おめでとうございます」という自筆の色紙も書かせ、グラビアも「AKB48の特大ポスター」と華やかである。週刊現代の表紙を飾った女優たちや長嶋茂雄ら有名人の「とっておきの一枚」写真など盛りだくさんではある。
だが、特集となると首を傾げたくなるものが多い。巻頭特集が「史上初 日本を引っ張る大富豪がここに全員集合!」だが、要は荒稼ぎした連中が本業とは別に「音楽祭」をやっていたり、「児童養護施設」を運営しているという話である。宣伝臭も臭うが、それは置いとくとしても、失礼だが日本を代表するような大富豪たちではない。
松井秀喜のインタビューは、そこが松井の良さなのであろうが、おもしろい話は語っていない。読売グループのナベツネと喧嘩している元巨人軍代表・清武英利氏の新連載「国税は見ていた」も始まった。優れた社会部記者であった清武氏だから、国税と税を逃れようとしてシンガポールへ移り住んだ「最後の相場師」との『死闘』があぶり出されるのだろうが、1回目を読む限りはおとなしすぎて期待外れである。次回以降に期待。
小保方問題も扱ってはいるが、タイトルが「小保方晴子さん『記者会見』登場」と読み違えている。評価できるのは再審が決定した袴田事件の袴田巌さんの罪をデッチあげた「刑事・検事・裁判官」たちの実名を挙げて告発していることである。
再審決定をした静岡地裁の村山浩昭裁判長は「捜査機関が重要な証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがあり、犯人と認めるには合理的疑いが残る」と判断し、その上「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」と刑の執行停止(釈放)も決めたのである。無実の罪で死刑判決を受け、48年間も死と向き合って生きてきた袴田さんにかける言葉はない。失った時間は戻らないが、彼を追い込み自白をデッチあげた連中は何らかの罰を受けるべきではないか。のうのうとして生きながらえ、勲章までもらった者もいる。せめて勲章は返上すべきだろう。自白を捏造した人間にお咎めなしでは「えん罪」はなくならない。