「夢の細胞」は幻だったのか。万能細胞STAPの論文をめぐる疑惑に理化学研究所はきのう1日(2014年4月)、「改ざん」「捏造」などの研究不正行為があったとする最終調査報告書を公表した。小保方晴子・ユニットリーダーは反論のコメントを出したが、STAP細胞の存在そのものはゼロに戻った格好だ。
一人だけ『悪者』扱い
問題の論文には、世界中の研究者から「この手順では再現できない」などの疑問があがり、さらに画像の切り貼り、他の画像の転用、他論文からの盗用疑惑も出ていた。理研はこれに現時点での答えを出した。
「遺伝子解析画像の切り貼り」には加工を認めて「改ざん」とした。また、「細胞組織の写真」が小保方氏の博士論文写真と酷似していた点は、「データの信頼性を根本から揺るがす」として「捏造」と断定した。論文が海外論文と酷似している、実験手順に関する記述などは「不正ではない」とした。
小保方氏については、「到底容認できない行為を重ねており、実験ノートの記述不足、データ管理もずさん」と、単なる未熟から出たものではないとしている。共同研究者に不正はないとしたが、論文の共同執筆者の若山照彦・山梨大教授と笹井芳樹・理研副センター長の責任は重大とした。
会見で理研は、「意図的な不正行為があったと判断した」「不正行為は小保方さん1人」という。調査委は小保方氏の実験ノートを調べたが、3年間の実験ノートが2冊しかなく、データ管理も断片的で科学的な追及ができなかった。通常なら、実験ノートは段ボール数箱分にもなるという。
「驚きと憤りの気持ちでいっぱい。STAP細胞の発見まで捏造にされかねない」
これに小保方氏は反論の文書を出した。「驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。研究不正とされた2点については、理研の規定で『悪意のない間違い』であるにもかかわらず、改ざん、捏造と決めつけられたことは承服できません」「近日中に不服申し立てをします」「このままではSTAP細胞の発見自体が捏造であると誤解されかねず、到底容認できません」
改ざんについても、「改ざんのメリットは何もなく、改ざんの必要はありません」というが、調査委には「禁止されている行為とは知らなかった」と話したという。また、捏造については「間違えた単純ミス。不正目的も悪意もありません。真正な画像データが存在しています。捏造する必要はありません」という。小保方氏の代理人によると、近く記者会見をする予定だ。
しかし、野依良治・理研理事長は「彼女はSTAP細胞の存在を信じ、思い入れがあるわけですから、こういういい方をされるのでしょう。それが調査委の結果と整合するかどうか、私にはよくわかりません」と突き放した。
「割烹着着てほんわかしているから先生たちもスルーしてきた」
問題はSTAP細胞は存在するのかだ。調査委は「実験的な検証が必要です」「(存在するかどうかは)わからない」という。つまり、やり直しということだ。一方で「すべてのデータが否定されたわけではない」ともいう。検証には約1年かかるが、4か月後をめどに中間報告を行うとしている。
司会の加藤浩次「わかりやすくするためでもデータの加工はいけないのでしょうか」
科学ジャーナリストの寺門和夫氏「いじったら信頼性がなくなります。元データのままでないといけない」
加藤「本当の画像があるんなら、それを付ければいいじゃないですか。それを捏造だといったということは、『ない』といってることじゃないですか」
会見ではそれにはまったく触れなかった。キャスターのテリー伊藤は「彼女のキャラクターでリーダーにしてしまったのがポイントのような気がする」という。「先生たちも戸惑いながらも面白いなあと。男だったらしっかり見せろというところを、割烹着着てほんわかしているとスルーしちゃったのかもしれない。可愛い女の子だとハンコを押しちゃったりあるでしょう」
加藤は困った顔をしていたが、これ案外いいところを見ているのかも。