ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の併合を受け、日米欧など先進7か国(G7)は、ロシアを主要8か国(G8)会合から排除することを決めた。しかし、ロシアのプーチン大統領は強気の姿勢を崩していない。
キャスターの国谷裕子は「クリミア半島のロシア編入に欧米各国が強い危機感を持っています。ウクライナは東側にロシアがありますが、西側は欧米先進国に近い距離にあります。プーチン政権のロシア編入強行で、新たな冷戦構造が出現するかもしれないと危惧されています」と伝えた。
西側各国に制裁の決め手なし
ウクライナとロシアの国境線が変更され、ウクライナ系住民がロシア系住民を襲撃するシーンがロシアのテレビで流されたりしている。国谷は「ウクライナの人がこのような嫌がらせやイジメにあうのはなぜでしょう。なぜ、NATOは踏み込んだ介入ができなかったのでしょう」と、東京大大学院・藤原帰一教授に聞く。
「ウクライナではロシア系住人が酷い目に遭っている。その報復をするのが当然。そのためのPR映像でしょう。ウクライナは冷戦時代に旧ソ連邦の犠牲になっていました。ソ連邦が崩壊し自分の時代がやっと来た。これからは西側諸国とも曙の時代で、親交を深めなければと思っていたのでしょう。それに待ったを掛けたのがプーチン政権です」
キエフ在住のウクライナ人の主婦は「食料を持っている現金で買えるだけ買いました。もう、この国は暗黒の世界です」と語る。藤原教授は「ウクライナではロシア系と非ロシア系の緊張が高まっています。こういう時に、一国のリーダーがナショナリズムを煽ってはいけません。冷静になり、国民に自制を求める必要があります」
プーチンは旧ソ連邦の国々を併合して「大ロシア」の皇帝を本気で目指しているのかもしれない。
ナオジン
*NHKクローズアップ現代(2014年3月31日放送「『新たな冷戦』は起こるのか~緊迫ウクライナ情勢~」)