みんなの党の渡辺喜美代表が化粧品大手「DHC」の吉田嘉明会長から借りた8億円のうち、2度目の5億円借り入れをメールで依頼していたことが明らかになった。メールでは「公認候補は60人ぐらいになりそうなので、あと5億円ほど必要」としている。借入金は政治資金収支報告書には記載されておらず、渡辺が公職選挙法違反に問われる可能性が濃厚になってきた。
「多数の当選者を出したら政党助成金が入るので、選挙後それで返します」
メールは借り入れの依頼をうけた吉田会長が保存していた。2012年11月19日午後8時23分に、吉田会長あてで「手持ち資金が5億円ほどありますが、あと5億円ほど必要になります。この分を何とかご融資いただけないでしょうか」とある。吉田会長は「このときのメールの内容は選挙と資金要請以外になかった。選挙に使うという大義がなければ5億円なんて貸すわけがない」と話している。
渡辺は「自分の意見も報道して欲しい。そういうメールを出した覚えはまったくない。2年前の選挙ですと、そのころ使っていた携帯電話はないですから確認のしようがないですね」とテレビ朝日に伝えてきたという。
メールを受信した11月19日は野田前首相が党首討論で解散を明言して5日後にあたる。その2日後の21日に三菱東京UFJ銀行六本木支店の吉田会長の口座から別の銀行の衆議院支店の渡辺の口座に5億円が振り込まれており、「預金口座振替による振込受付書」もある。
結局、12月に行なわれた総選挙でみんなの党は69人を擁立したが、供託金は1人当たり小選挙区300万円、比例代表(重複候補を含む)600万円、党全体で3億円を超える資金が必要だった。吉田代表によると、返済方法についても日頃から「多数の当選者を出したら政党助成金が入るので、選挙後それで返す」という認識で一致していたという。
公職選挙法違反なら当選無効、公民権停止5年
司会の羽鳥慎一「収支報告書への記載をなぜ嫌がるのですか」
日大法学部(政治学)の岩井奉信教授はこう説明する。「記載すると使い道も報告しなければならなくなりますからね。裏金的に使えるお金が欲しいと思うのではないでしょうか。猪瀬園東京都知事は口約束だったから認識の問題だと言い逃れができました。今回は物証に近いメールが出てきており、検察が扱わないわけにはいかないでしょう」
渡辺の今後の政治活動はどうなるのか。「公職選挙法に問われますと、猪瀬前東京都知事は有罪で5年間の公民権停止を食らっています。渡辺さんも先の総選挙の当選は無効、そのうえ5年間の公民権停止になる可能性は非常に高いですね」
青木理(ジャーナリスト)「これまで、一般的にはお金をもらって収支報告書に記載しない場合には、1億円超を強制捜査の対象としてきました。今回は1回目の3億円を合わせ8億円ですから、対象になってもおかしくないし、対象にしないと辻褄が合いません」
渡辺の政治活動は無論のこと、渡辺代表の『個人商店』と言われたみんなの党の存続も危うくなる。