DNA鑑定で「証拠衣類の血痕は袴田さんのものでも被害者のものでもない」
今回の決定の決め手はDNA鑑定だった。事件から1年2か月もたって、味噌タンクの中からみつかった5点の衣類は、犯行時に袴田さんが着ていたものとして有罪の決め手とされていた。しかし、弁護側の鑑定の結果は、付着していた血は被害者のものでも袴田さんのものでもなかった。時間が経ってから味噌タンクに浸けられたものということもわかった。
決定は「ねつ造する必要と能力を有するのは、おそらく捜査機関(警察)のほかにない」「国家機関が無実の個人を陥れ、45年以上拘束し続けた。刑事司法の理念から到底耐え難い」とした。それでもなお、静岡地検は即時抗告の予定だという。彼らはいったい何を守ろうとしているのか。
釈放され、ホテルで姉と弟が並んでVサインをしている写真があった。笑顔の秀子さんの脇で、巌さんには表情がない。逮捕されたとき33歳と30歳だった2人はいま81歳と78歳だ。何と過酷な歳月だったことか。
司会の小倉智昭「もっと早くこういう結果が出なかったものか」
ショーン・マクアードル川上(経営コンサルタント)「アメリカでは大陪審というんですが、起訴するかしないかを決めるシステムを考える必要がありますよ」
笠井信輔キャスター「最初の判決を書いた裁判官が無罪と言い、支援に回っていた。それが実を結ぶまでにこれだけの時間がかかる」
DNA鑑定がなければ、おそらく何もわからず、変わりもしなかっただろう。ねつ造にしたって戦前はもちろん、戦後もいくらでもあることだ。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト