みんなの党・渡辺代表に8億円貸したDHC会長「選挙終ったら礼の一つもなく、連絡途絶えた」

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<「日本維新の会とみんなの党の連携話が渡辺さんから入ってきたのは12年3月。その頃、私が検査入院していた慈恵医大病院の特別室に、渡辺さんは人目も気にせず一人でやってきて、
   『次の総選挙で、維新と全面的に選挙協力をすることになりました。両党で100人以上は当選する可能性がある。ついては20億円ほどお借りできませんか』
と頼んできたのです。確かに20億円は大金ですが、当時の腐りきった民主党政権に終止符を打ち、この20億円が日本再生のためになるのならと思い、支援するつもりでいました。しかし、ご存知の通り、みんなの党と維新の会の連携はご破算となり、渡辺さんからは『5億円でいいことになりました』と連絡が入ったのです。
   選挙の1ヵ月前の11月21日、2年前と同じ口座に、5億円を私の個人口座から振り込みました。ただ、前回の3億円の時と違うのは、彼から借用書が送られてこなかったこと、そして18人が当選した後も、礼の一つもなく、連絡まで絶えてしまったことでした。私が彼に幻滅し始めたのは、おそらくこの頃のことです」>

   こう『週刊新潮』でみんなの党の渡辺喜美代表(62)のことを非難するのは、渡辺のスポンサーの吉田嘉明DHC会長(73)である。吉田会長が1972年に創業したDHCは化粧品、サプリメントなどを扱う総合メーカーで、総売上高は約1140億円になる。

   今週は週刊新潮が元気だ。このスクープは大新聞が1面で追いかけているし、後で紹介する共産党のアイドル・吉良佳子議員の「駅中キス」も読ませる。久々に週刊新潮の面目躍如である。

   吉田会長率いるDHCは天下り官僚を1人も受け入れていない。彼の持論は霞ヶ関、官僚機構の打破。それこそが今の日本に求められる改革であり、それを託せる人が、彼の求める政治家だから、声高に脱官僚を主張していた渡辺喜美に興味を持つのは自然のことだったという。少なくとも5年前までは。

   吉田会長は渡辺の土地を買い上げてやったり、2010年7月の、結党以来2度目の国政選挙である参院選を控えて、「渡辺さんから選挙資金の依頼がありました。『参院選のための資金を貸してもらえないでしょうか。3億円あれば大変助かります』と申し出があった」ため3億円を貸したり、総選挙前には5億円も渡し、しかも借用書も取っていないというのだ。

   選挙後は何の連絡もなかったが、今年の2月9日に渡辺が突然訪ねて来て、自宅地下のカラオケルームに招き入れると、彼はいきなり土下座したというのである。そして「会長、色々とご迷惑をおかけしました。許してください」と、蚊の鳴くような声で詫びたという。吉田会長は自分の怒りを鎮めようという「芝居」だったのではないかと話している。

   これを読む限り、渡辺氏はあまりにも身勝手で恩知らずと思わざるを得ないし、政治資金として記載していないというから規正法に引っかかるのではないか。それについては後述するが、渡辺氏といえば、妻の尻に敷かれていることでも有名だが、吉田会長はこんなエピソードを話している。吉田会長に会うときはたいてい妻のまゆみさんが一緒だったという。

<「渡辺さんは心底惚れていて、何かあればいつも白旗を掲げていました。
   ある時、まゆみさんが渡辺さんと女性番記者との仲を疑って離婚話にまで発展したことがあった。その時、渡辺さんはふらりと一人で私の家にやって来て、うちのカラオケルームで森進一の『冬のリビエラ』を熱唱していったのです。『男って奴は~』という節に力を込め、歌い終わったあと、彼は力なくこう言いました。
   『今はただ、お怒りが鎮まるのを待つのみです』
   代表であり夫である渡辺さんがこれですから、党内の議員や秘書も、まゆみ夫人に嫌われたら万事休す、といったところだったのでしょう」>

どう言い訳しても「公職選挙法」「政治資金規正法」「贈与税」いずれかに違反

   5億円は選挙の1か月前の11月21日、2年前と同じ口座に吉田会長の個人口座から振り込んだ。その後4回にわたって計330万円ほど返金されているから、現在の残高は5億4986万1327円だそうである。

   この問題については、『朝日新聞』(3月27付)朝刊で元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士がこう語っている。<「選挙資金だった場合、たとえ借入金だったとしても選挙運動費用の収支報告書に記載がなければ、公職選挙法違反に問われる可能性がある。政治活動の費用だった場合は、政治資金収支報告書に記載がないと政治資金規正法違反にあたる可能性がある。

   使途が選挙や政治活動に無関係だったとしても、吉田会長は12年の5億円について担保や返済期限が設定されず、借用書もなかったとしており、贈与と認定されて税務上の問題が指摘される可能性が浮上する。これを寄付とみなした場合には政治資金規正法が定める寄付額の制限を超える可能性もある」>

   政治とカネの話はこれまでも無数にあった。あり余ったカネを使って政治家のスポンサーになり、フィクサー面をする実業家にも辟易するが、カネ欲しさにたかる政治屋は最低である。こんな人間が官僚打破などできるわけはない。渡辺氏は仮に法の裁きを受けなかったとしても、代表の座を降り一政治家として再出発するしか残された道はないはずだ。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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