マレーシアのナジブ首相はきのう24日(2014年3月)夜に緊急会見を行い、行方不明のマレーシア航空MH370便は「インド洋の南部に墜落して生存者はい ない」と発表した。しかし、そう断定した根拠はあいまいで、とりわけなぜ370便がそちらへ向かったかもわからないままだ。
イギリスの民間衛星データ「オーストラリア南西方向2500キロ」
ナジブ首相は「新たな分析で370便の最終飛行地点は南インド洋のパース(オーストラリア西端)の南西2500キロと結論づけた」と語った。その根拠を「イギリスの民間衛星データの分析」とした。マレーシア航空は首相会見の30分前、乗客家族に「マレーシア航空機は墜落し生存者はいない」というメールを送っていた。
370便は8日午前0時41分にクアラルンプール空港を北京へ向けて飛び立ち、約50分後に通信が途絶え進路を西に変えたことが判明したが、以後は行方が分からなくなった。通信衛星との最後の交信は8日8時11分だった。しかし、送信場所は特定できなかった。
さらに、自動装置が何者かによって意図的に切られたとしたため、ハイジャックや機長の犯行の可能性などさまざまに取りざたされた。この間、日本の自衛隊を含む26か国の軍・救難当局が捜索に参加し、捜索範囲も当初のベトナム沖からインド洋南部へと広がった。
先週初めから各国の衛星がインド洋で浮遊物を発見し、きのうオーストラリアと中国の空軍機が近接海域で複数の浮遊物を確認した。同時に英国の事故調査当局による衛星データの解析から、最後の交信がこの海域と断定された。マレーシア政府の発表はこれによる。
水深4、5000メートル!フライトレコーダー、ボイスレコーダー回収できるか
司会の小倉智昭「そこまで到達できるんですか」
航空評論家(元全日空機長)の前根明氏は、この到達地点を「(燃料効率がいい)1万メートルの高度で飛んでもギリギリの距離」「浮遊物も目撃内容ではわからない」とやや懐疑的だ。マレーシア政府の発表についても「いくらなんでも早すぎる。物体を引き上げて同機のものと確認されてからでないと」という。
小倉「ブラックボックスには期限があるのですか」
前根「信号が出ているが、あと2週間くらいでバッテリーがあがってしまいます。これまで2000メートルの海底から見つけたことはありますが、このあたりは 4、5000メートルと深いですからね」
小倉「引き上げられないと、何が起こったか闇の中ということもあるわけですよね。違ってる可能性だってあるんでしょ?」
竹田圭吾(「ニューズウィーク日本版」編集長)「イギリスの衛星というのはインマルサットです。初めからわかっていたことをなぜすぐに解析しなかったのか」
小倉「墜落原因は?」
前根「この場所なら燃料切れです」
竹田「なぜそっちへいったのか」
前根「それです。だから、フライトレコーダー、ボイスレコーダーが必要になるんです」
竹田「パイロットに問題があったというのも、否定できないでしょうねえ」
前根「おっしゃるとおりです」
小倉「燃料切れなんて素人でもわかる。そこで第3の力が働いたのか」
まずは船が現場に着かないといけない。話はそれからだ。