「権威」に庇護されなかなか明るみに出なかった疑惑・疑問
彼女は2012年末にSTAP細胞作製に「成功」するが、ネイチャーに投稿した論文は却下されてしまう。そこでケビンの登場である。彼女はいつの間にか、理研CDBの副センター長である笹井芳樹先生に話を持っていったという。笹井氏(52)は受精卵から作られた万能細胞「ES細胞」の第一人者で、世界で初めてES細胞を神経細胞に分化させることに成功し、わずか36歳で京都大学医学部教授に就任したエリート中のエリートである。
ネイチャー掲載に堪えうる論文を小保方さんが執筆できるはずはなく、実質的に執筆したのは笹井氏ですと科学部記者がこう話す。<「彼女をCDBのユニットリーダーにするよう強く推挙したのが笹井氏といわれています」>
さしたる業績もない30歳の彼女が抜擢されたことで、所内では情実人事ではないかと当初から噂でしたと、現在もCDBに勤務するC氏はいっている。このポストは大学教授とほぼ同等のポストで、給料も800万円以上はあるそうだ。
だが、この世界も複雑で、笹井氏が小保方さんを利用しようとしていたという見方もあるようだ。そのC氏がこう語る。<「笹井先生は、iPS細胞でノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京大教授への対抗心を燃やしていました。二人とも同学年ですが、もともと笹井先生の方が圧倒的にリードしていた。(中略)
ところが、iPS細胞で山中先生が大逆転した。
そんな笹井先生の前に、STAP 細胞という夢の万能細胞をひっさげて現れたのが小保方さんだった。これで一気に山中先生を追い越せると笹井先生は思ったのかもしれません」>
笹井氏の小保方さんへの入れ込み方は相当なものだったようだ。<「疑惑が浮上し始めてから、笹井先生は『僕はケビン・コスナーになる』と語っていたそうです。ケビン・コスナーが主演した『ボディガード』のように、小保方さんを守り続けるという意味なのでしょう」(C氏)>
こうした強力な「庇護」の下で小保方論文は守られ、その疑惑がなかなか明るみに出なかったようである。