小出しにして政治的駆け引き
それにしても相変わらずの北朝鮮の狡猾なやり口に柿崎明二(共同通信編集委員)がこう言って憤った。「横田夫妻はかなり苦しい決断をしたんだと思います。もともと拉致された人の娘なので、日本で自由に会わせてもいいはず。こうやって(北朝鮮が)小出しにして、政治的に利用することを即刻やめて、全員を帰すというのがあるべき姿ですよ。そこを押えておかないで、会ってよかったと見てしまうのはいかがなものか」
やくみつる(漫画家)もこう発言する。「ゆめゆめ、これが落としどころみたいに用いられてはたまったものではない。事態を動かそうとするための端緒になればという横田茂さんの趣旨は分かる気がする。孫娘も母親の消息を知らないとなると、面会は同じ親子を裂かれた者同士の位置にあった」
北朝鮮が歩み寄ってきた狙いは何なのか。「コリアレポート」の辺真一編集長はこう解説する。「日韓に対しカードを切って、2国間協議に応じないアメリカを引っ張り出そうという外交的な狙いが一つ。もう一つは拉致問題を餌に制裁の一部を日本に緩和させる狙いがある。チャーター便の乗り入れを緩和させ、日本から観光客を誘致したいのだろうし、小泉政権時代に約束した食糧や衣料品の人道支援を取り付けたいのだろう」
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト